第四十九話 俺たちに出来る事
この戦争から物語りの本質的なところが見えてきますので、良ければ読んで頂けたらと思います。
イストニア帝国。
アースハイト王国の西に位置する国。
軍事に力を入れて、度々アースハイト王国と戦争を起こしている。
近年は20年前の戦争で平和協定が結ばれ、戦争はなかったとロイに教えてもらった。
ロイのお父さんも噂は耳にしていたらしいけどまさかっていう心境らしい。
俺が街で聞いた噂も間違いじゃなかったんみたいだ。
「なぁロイ、なんでイストニア帝国は急に戦争をしようと思ったんだろうな?」
「分からない。ただ言えるのは戦争になればお互いの国に被害が出るのは間違いないな」
なんで同じ人間同士争うのだろう。
傷つけあい、憎しみを生む。
負の連鎖でしかないのに……。
俺とロイは話し合ってある決意をして、ロイのお父さんの元へ向かう。
「父さん、話がーー……」
「ダメだ。これは大人の問題だ。それにおまえたちを危険にさらす事は親として出来ない」
ロイのお父さんは俺たちが何を言いに来たか予想がついてるみたいだ。
でもーー。
「国王様、俺たちも、もう大人です。それに俺たちが早く戦況を動かせばお互いの国の被害が最小限にすみます。俺はみんなにお世話になりました。この国が好きです。そして、俺は父さんと母さんにみんなの為になる事に力を使うと誓いました。俺たちなら威力を制御して相手の被害も最小限に留める事ができます」
「しかし…」
「父さん、俺たちは大丈夫だから。俺はアレク兄さんみたいに、みんなを動かしたり内政とか政治の事は出来ない。だから、こんな時にこそこの国、国民の為に動きたいんだ」
俺とロイはそれぞれの想いを口にした。
俺はこの国が好きだ。
物心ついた時はいろいろあったけど、じぃちゃんとばぁちゃんに育てられ、ロイやシャーリー、アリィやロイのお父さん、お母さん、アレク兄さんやセフィ姉さん、リチャード兄さんや城の人達……みんなに出会う事が出来て幸せだった。
だから、そんな人達を守る為、そして相手も人間だし、被害を最小限にとどめたい。
ロイも同じ気持ちだったんだろう。
『自分達の力とは何か?』
自分達の力は出来る限りの人を救う為にあるのだと……。
多くの人を救える力があるからこそ行動する。
力なき正義が無力なのと同じで、力があっても行動しなければ意味がない。
俺たちの決意にロイのお父さんは口を開く。
「……分かった。しかし、危ないと思ったら無理をしないでくれ。おまえたちに何かあれば私は……」
「大丈夫です。その言葉必ず守ります」
そう言って俺たちは作戦会議に加わった。




