エピローグ 〜one year later〜
「シャーリー、凄く似合ってるわよ!」
「そ、そう? アリィも凄く似合ってるよ!」
ゴルゾーラ、邪神アポフィスとの戦いから一年、私たちは平和な世界を取り戻しました。
「ありがとう、シャーリー! でも、なんか夢みたいよね! あの時は死んだかと思ったけど」
「うん、そうだね。でも、私はハル君を信じてた」
ゴルゾーラを倒し、全てが終わったかと思った瞬間、漆黒の矢がみんなを襲い瀕死の重傷を負いました。
邪神アポフィスが復活したのです。
私は漆黒の矢がみんなを襲った瞬間に振り返ると邪神アポフィスがハル君に漆黒の矢を放つところでした。
それに気づいた私は咄嗟にハル君を庇い、自分がその矢を受け、意識を失いました。
「あら〜そんなところまでノロケないでくれる?」
「えっ、そ、そういう意味じゃーー!?」
「冗談よ! それにしてもまさかこんな幸せな時が来るなんてね」
「もうアリィ! でも確かにこんな幸せな時が来るなんてね」
今日私はハル君とアリィはロイ君と結婚します。
あの戦いが終わって、二人ともプロポーズを受け、そしたら流れで一緒に結婚式を挙げる事になりました。
一国の王子様とお姫様と一緒に結婚式なんてと思ったのですが、全世界を救った英雄としてハル君と私の結婚式も華やかに行おうと、ロイ君のお父さんが張り切って何故だか、アリィの両親、そして気づけばレドニン君やラース教の大司教様、ギルド長のコールさん、アドルノ工房のアドルノさんまで話が広がり、あっという間に決まってしまいました。
「アリィお姉様、シャーリーお姉様綺麗ですわ!」
「お二人ともキレイっす!」
「ありがとうソニンちゃん、ラート君!」
ラート君とソニンちゃんも祝いに来てれました。
お二人とも、いつもと違う衣装で大人っぽいです。
「ありがとうソニン! ソニンもそのドレス似合ってるわよ」
「うん、ソニンちゃん可愛いよ!」
「そ、そんな事ないですわ」
ソニンちゃんは照れて顔を赤くしてます。
可愛いです。
「ソニンちゃん似合ってるっすよ! 可愛いっす!」
「えっ!? そ、そう!? ま、まぁ私だから当たり前じゃない!?」
ソニンちゃんはラートに言われてさらに照れて顔が真っ赤になってます。
それを見て私とアリィは顔を見合わせて笑います。
ラート君はあの後、クロード君の事で落ち込んでいましたが、ソニンちゃんが励まして立ち直りました。
今では良いカップルです。
「お二人ともお綺麗です」
「ありがとう、ルルちゃん」
「ありがとうね、ルル」
「本当お綺麗です。その純白ドレス、良く似合ってます。私も……いえいえ! 今日はお二人の式を執り行なわせていただきますのでよろしくお願いします!」
そう言ってルルちゃんは頭を下げます。
今日の式はラース教の大司教様が気を使ってくれて巫女であるルルちゃんが執り行なってくれる事になりました。
「こちらこそよろしく! ルルちゃんの結婚式は私たちが盛大に祝うからね? ねっ、シャーリー?」
「もちろん!」
「な、何言ってるんですか!?」
「あぁ、ルルの為に頼む」
そう言ってルルちゃんの後ろからウィル君が現れました。
「ウィ、ウィル君も何言ってるんです!? 今日はお二人が主役ですよ!?」
「その主役の二人の言葉だ。有難く受け取っておくべきだろう。だから、その時は頼む。ルルを祝ってくれ」
「ーーッ!?」
ルルちゃんが顔を真っ赤にして焦る中、ウィル君が私たちに頭を下げます。
ウィル君とルル君も戦いの後にウィル君が自分の気持ちに気づき、ルルちゃんにプロポーズしました。
付き合うとかより進んで、真剣に考えて一気にプロポーズにいくのは真面目なウィル君らしいです。
ルルちゃんはもちろんオッケーしましたが、ラース教の巫女としての役割があるので、年齢による役目を終えてから結婚式を挙げるそうです。
「ウィル君、ルルちゃんを幸せにしてあげてね?」
「あぁ、任せろ。必ず幸せにする」
「ウィル君って本当に真面目ね。ウィル君だったらルルが巫女の役目を終える前に資格をなくす事はなさそうね」
「あぁ、それも心得ている。役目を終えたらその後はーー」
「ウィル君それ以上話さないでください!!!!」
ルルちゃんは慌ててウィル君の口を塞いでいます。
二人とも仲良さそうです。
「相変わらず賑やかだな! まぁそれでこそ俺たちぢが。……アリィ綺麗だよ」
「ロイ君……ありがとう」
賑やかになった部屋に現れたロイ君は、入ってきてすぐに一転させ、アリィと二人の世界に入ってます。
元々お酒を飲んだ時は二人の世界に入りやすかった二人ですが、最近はよく急に二人の世界に入るので私たちも慣れました。
それにしてもロイ君のキャラでは意外です。
「……あっ、まだあいつは来てないのか?」
二人だけの世界に入っていたロイが急に素に戻って気づきました。
「うん。今日は朝にお兄ちゃんのところに寄らないといけないと言ってたけど……」
「ゴメン!! 遅くなった!!」
その時、その人物が慌ただしく部屋に入ってきました。
「こんな時にまで何やってるんだ、ハル?」
「しょうがないだろ!? リチャードさん……リチャードお義兄さんと話してたんだから……。あの冷蔵庫が完成して普及できそうになったから、次の段階の話しをしてて……なかなか『電気』ってのが伝わらなくてな。あぁ〜!! 魔法さえ使えたらな!!」
最後にやってきたのは私の夫になる人、ハル君です。今日はお兄ちゃんに冷蔵庫が完成したとかで朝から呼び出されていました。
ゴルゾーラと邪神アポフィスの戦いの後、創造神アテン様と精霊様達が姿を消した事によってこの世界から魔法という存在が消えました。
元々私たちは精霊の加護を受けて、魔法の属性を得てこの世に生を受けた時に創造神アテン様の祝福を受けて魔力を使いこなせていました。
それが創造神アテン様と精霊様達が姿を消した事で、この世界では魔法が使えなくなりました。
「ったく、こんな日に。それにしても言い訳より先に何か言う事があるんじゃないのか?」
ロイ君の言葉にハル君がハッとします。
「……シャーリー、綺麗だよ」
「ありがとう、ハル君」
ここで遅れてきたハル君に何か言うのが普通かもしれませんが、ハル君はこの一年間この魔法がなくなった世界に『機械』や『電気』と言った魔法に代わる、生活に必要なものをエターナル・ログの知識を生かして作ろうとしてくれています。
みんなの事を考えてやってくれているのだから怒れないですね。
怒るとしたらお兄ちゃんの方です。
「シャーリー……怒ってない?」
「怒ってないよ。私、ハル君の事、大好きだから」
「ーーッ!? シャーリー、俺もシャーリーの事が大好きだ、愛してる」
「ハル君……」
そう言って私とハル君は見つめ合います。
「はいはい! 二人とも何考えてるの!? 今から式だよ!?」
「そうだハル! 人前でいちゃつくよりさっさと着替えてこい!!」
「し、しまった!! シャーリー、待っててくれ!!」
そう言ってハル君は着替えに向かって走って行きます。
去り際にロイ君に「おまえにだけは人前でいちゃつくどうのこうの言われたくねぇ!」と言っていました。
その件に関しては私もハル君と少し意見が合いそうです。
「……」
私はふと窓の外の空を見上げます。
青い空、白い雲……。
あの戦いの事を考えると、当たり前の事が実は大変な宝物だと思います。
この当たり前の光景がいつまでも永遠に……。
「シャーリー! そろそろ時間だって! 向こうでハル君待ってよ!」
「うん!」
私は窓から視線を戻し、これからの幸せへと向かう。
これから先、私だけじゃなくみんなが幸せになれるように、そして、その幸せがいつまでも続くようにと願って……。
エターナル・ログを読んで頂いた皆様、ありがとうございます。
皆様のおかげで完結まで書ききる事が出来ました。
この作品は処女作で、書き始めてから一年間三ヶ月……毎日更新してきました。
それだけに思い入れのある作品です。
しかし、まだまだ未熟でいろいろと至らぬところがあったり、生活環境の変化で執筆時間が減少したり、スランプに入ったりして後半部分は一話がだいぶ短くなり、構成力不足、描写不足な部分がたたあったかと思います。
でも、毎日更新する事で自分なりに小説を書く事を学べました。
そして、毎日書けた事に、稚拙ですが完結まで書けた事に満足感はあります。
ただ、書きたかった事が全部書けたかというと『書けた』とは言えないですが、これが今の自分の力だと思います。
いずれ、もっと書く力がついたら改稿かリメイクして再投稿したいと思います。
いろいろと足りないところもあったかと思いますが、この作品を読んで頂いた皆様ありがとうございました。
平成28年10月1日追記
ご指摘頂いた誤字脱字等に関してのみ、順次訂正させて頂きますので、よろしくお願いします。
合わせて宣伝になりますが、新連載『魔王だって普通の生活したい!』を始めました。
良ければ読んで頂けると嬉しいです。
この度は、エターナル・ログを最後まで読んで頂き、ありがとうございました!




