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第四百六十八話 力を合わせて

『我ノ力ヲ与エヨウ』


 脳内に直接響くように声が聞こえ、そして周りの景色が止まる。


「創造神アテン……か?」


『サヨウ。邪神アポフィスハ昔我ガ身ヲ分ケタ分身、我モ責任ヲ取ル時ガ来タ。……イヤ、遅クナッタガ取ラナクテハイケナイ』


 分身……責任……?


『我ガ創造神アテントシテ、コノ身ヲ持ッタ時、我ガ心ニモ憎シミヤ怒リト言ッタ負ノ感情ガアッタ。シカシ、我ハコノ世界ノ神トシテソノ負ノ感情ハ邪魔ダト思イ我ガ身カラ分離サセタ……ソレガ邪神アポフィスノ正体ダ』


「そんな……」


『ダカラ、我ガ力ノ全テヲオ主ニ託ス』


「そんな事したらーー!?」


『我ハ過去ニ誤チヲ犯シタ。自ラノ身ヲ守ル為ニ多クノ犠牲ヲ出シタ。我ハモウ間違エテハイケナイ。ソレニ、我ハオ主ヲ守ラナイトイケナイ』


 ……もしかして、父さんと母さんと戦った時の事を言ってるんだろう?


『我ハ全テノ力デ邪神アポフィスヲ倒ス力ヲ与エル。後ハオ主達デ道ヲキリヒラケ』


「アテン……」


『私たちもご一緒します』


 突如としてルクス……いや、精霊達が現れる。


『イヤ、オマエ達ハ……』


『いえアテン様、私達もアテン様と同じ気持ちです。あの時にもっと力を出していれば……そうすれば我が身は消えても世界は平和に、そして犠牲も少なく、このように時代を越えて厄災が起きる事はなかったと思っています』


『……シカシ』


『それに邪神アポフィスの力はこの世界での負のエネルギー、そしてゴルゾーラの時を超えた執念により増大しています。創造神アテン様の力をもってしても互角……失礼ながら確実とは言えないでしょう』


『……』


『私達精霊も覚悟を決めてこの場にやって来ております。どうかお許しを』


 そう言って光の精霊ルクスを始め、精霊一同が頭をさげる。


『……ワカッタ。デハ、ハルヨ。我ラノ力ヲモッテ邪神アポフィスヲ倒シ世界ヲ救ッテクレ』


「でもそんな事したらみんなはーーっ!?」


『消エルダロウ。シカシ、大丈夫ダ。人間ハ己ノ中ニ光ト闇ヲ持ッテイル。ダガ、人間ハ迷イナガラモ自ラノ心ニアル光ヲ強クスル事ガデキル。例エ、一人デハ無理デモ支エアッテ生キテイケルダロウ。我ハソレヲソナタ達ヲミテ学ンダ。モハヤ神ナドナクテモヤッテイケルダロウ』


『そうですハル様、貴方がシャーリー様を救おうとした心、シャーリー様がハル様を救おうとしたら心は大きな光を放っていました。人間には光と闇がある……間違った道を進もうとした時でも周りが止め、支えあって生きて行く。それができるなら私達精霊もいらないはずです』


 みんな……。


「……分かった、みんな俺に力を貸してくれ!!」

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