第四十六話 15歳の抱負
俺はコーヒーを飲み終えた後、小さい頃魔法の訓練をしていた場所に行った。
この場所は俺が小さい時、大半の時間を過ごした場所だ。
そして、ロイとシャーリーと過ごした思い出の場所。
何かちょっと前の事なのにすごく昔のような気がする。
最近いろいろあってここには来ていなかった。
たまに、ここに来るのはいいかもしれない。
何か、初心を思い出すというか心が和む。
そして、俺は小さい頃住んでた村にも寄った。
村はだいぶ復興していた。
でも、俺が住んでた家はもうない。
俺が住んでた家は更地にしてじぃちゃんとばぁちゃんの墓を作ってもらった。
俺は目を閉じ、墓標に手を合わせる。
「じぃちゃん、ばぁちゃん、俺15歳になったよ。ちゃんとした大人になれるか分からないけど頑張るから」
そして、空を見上げネックレスを太陽にかざす。
「父さん、母さん、俺も大人の仲間入りしたよ。父さんと母さんみたいな優しい大人になるから。そして、父さんと母さんが望んだように幸せな人生送れるよぅに頑張るから見守ってて」
この先、何があるか分かんない。
でも、俺はもう大人だ。
自分で考え、自分で決断し、自分で行動しなくてはいけない。
よし、俺なりの大人への一歩を踏み出せそう。
父さん、母さん、じぃちゃんにばぁちゃん……俺の親達に恥のない大人にならないとな。
「「ハル君、誕生日おめでとう!」」
城に帰るとシャーリーとアリィが出迎えてくれた。
「ありがとう」
まさか出迎えがあるとは。
俺は素直に嬉しかった。
そして、二人に案内されるまま食堂へ向かった。
「「「誕生日おめでとう!!」」」
扉を開けると、そこには美味しそうに焼かれてお腹を刺激するような匂いを放つ肉や魚介、そして、真ん中には巨大化なケーキがテーブルに置かれているのが目に入る。
他にも美味しいな料理やお酒がテーブルの上にところ狭しと並べられている。
さらに、わざわざ休憩用のソファーも運び込まれている徹底ぶりだ。
俺が呆然としているとロイとロイのお父さん、お母さん、そしてアレク兄さん、セフィ姉さん、その他城の人達が迎えてくれた。
「遅かったな、ハル」
「ちょっとな。でもこんなたくさんの人がいるとは……」
俺は少し感慨深くなって言葉を失った。
「まぁサプライズってやつだ。それよりせっかくの誕生日なんだ盛大に飲むぞ?」
……ロイ飲む気満々なのね。
そして、俺たちは席に着いた。
「では、主役も来た事だしそろそろ始めようか。その前にハル君に一つ言っておきたい」
ロイのお父さんは真剣な顔で俺見ている。
「なんでしょうか?」
「ハル君、私達は君の事を家族だと思っている。君に命を救われたからとかじゃない。それはもちろん感謝しているけど今日まで一緒に過ごしてきて、私達は君の事を家族の一員として見ている。だからこれからも、何かあったら頼って欲しいし甘えて欲しい」
みんなが俺を見て頷いてくれている。
……ヤバイなんだか泣きそうだ。
「ありがとう……ございます」
「さぁ、父さんの湿っぽい話も終わったしせっかくの弟の大人への一歩なんだしもりあがらないとな! なぁ、セフィ?」
「ふふっ、そうねアレク。じゃぁロイ君、アリィ、シャーリーちゃんよろしくね?」
「じゃぁ、乾杯をしたい思う! みんなグラスは行き届いているか?」
ロイが言うより前に、城の人達が手際よくみんなのグラスにお酒を注いでいた。
「ハルの大人への一歩を祝して……乾杯!!」




