第四十四話 ルイーズさんの教え 後編
俺とロイは魔力制御、操作の訓練に移ったけどこれがまた難しい。
魔力を放つのではなく留める。
言葉にすると簡単そうだけどこれがまたやっかいだった。
例えるなら、人が空を飛ぶような話だ。
重力に逆らい空を飛ぶくらいの難しさ。
でも鳥とかが空を飛べるように方法によっては出来るんだろう。
まぁ、重力を魔力の流れと考えると分かりやすい。
魔力は体内から出ると放出されるというものをなんとかその流れに逆らって留めようというものだ。
ちなみに、身体強化魔法は身体の細胞を活性化させるので根本的に魔法の構造が違う。
「だから! 魔力を留めるんだよ! なんて言うさこう……グワッ! って魔力が出るのをグッて堪えて留める!」
ルイーズさん……その表現は……。
俺は昔の自分と重ね合わせて俺が恥ずかしくなった。
結局俺とロイは魔力制御と操作をマスターするのに三カ月かかった。
ちなみに剣術の練習はルイーズさんが
「二人とも基礎はできてる! あとは実践のみだ!」
と言って魔法制御と操作の訓練が終わった夕方からひたすら闘技場で模擬戦を行った。
シャーリーとアリィも順調に上達している。
特にシャーリーにはお世話になっている。
模擬戦で出来た怪我とか治してもらったりしているけど治癒魔法の効果が上がっている。
おそらくイメージで見た目の傷というより細胞まで意識しているから効果も早く効力も大きいのだろう。
アリィに関してはなんかいろいろ魔法を考えてるみたいだけど……恐くて聞けない。
そしてさらに月日が流れる。
「よし、おおかた魔力制御と操作もマスターしたし、模擬戦もだいぶ動きがスムーズになった!」
俺とロイはルイーズさんからお墨付きをもらった。
ちなみに武器に魔力を纏わせるのもほぼ同じ原理だけど、身体から魔力が離れる分難しかった。
でも、だいたい要領は掴んだしあとは実践あるのみだろう。
「訓練はこれでひとまず終了! 俺はそろそろ旅立つよ」
実はルイーズさんの旅立ちには理由がある。
「「師匠お幸せに!!」」
俺とロイは声を揃えて言う。
「な、なんだ!? 知ってたのかよ」
実はルイーズさん、元カノさんとヨリを戻して結婚する事になったみたいだ。
それで、奥さんの生まれ故郷に挨拶に行くらしい。
本人は隠してたみたいだけど、様子見れば分かるしロイと二人で調査したら証言者も多くすぐ分かった。
「ルイーズさん、奥さんとお幸せに!」
「ルイーズさん、奥さん泣かせたら許しませんからね?」
……どちらがシャーリーの言葉かアリィの言葉は聞かずとも分かるだろう。
まぁ二人もルイーズさんを祝福している。
「へっ、まぁ〜……ありがとうな!」
ルイーズさんは少し照れ臭そうにそう言って奥さんとともに旅立って行った。
旅立つ直前、ルイーズさんは俺に、
「早くシャーリーちゃんに告れよ!」
と言葉を残して行った。
……言われなくても分かってる。
俺は魔力制御・操作よりこっちの方がどう手をつけていったらいいか分からなかった。
ちなみに、言うまでもなく『エターナル・ログ』にその辺の知識はなかった。
エターナル・ログを読んで頂いてる皆様ありがとうございます。
章管理はしていませんが、ここで第二章終わりです。
次回より第三章が始まります。
次章より物語がまた一つ進みます。
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