第四百七話 対魔人化ルイーズ その1
こんな日がくるとはな……。
俺は無表情でダビドの横に佇むルイーズさんを見据える。
ルイーズさんは俺が小さい時から剣術を教えてくれた。それだけでなく、王家……そして、髪の色の事もあって、ハルに出会うまであまり外で他の子と遊んだりはなかったから、ルイーズさんが訓練と遊び相手をしてくれた。
実の兄、アレク兄は王家の長男として、学術の方を叩き込まれていて、遊ぶ時間があまりなかったから、ルイーズさんはもう一人の兄と呼んでもおかしくない。
俺にとってルイーズさんは師匠であり、兄であった。
でも、まさかこうやって殺し合う日がくるとは……。
魔人化している以上、ルイーズさんを救う事は出来ない。……それは分かっているけど、なかなか俺の身体はルイーズさんと戦うのを拒否している。
くそ……。
俺の脳裏に笑顔のルイーズさんが浮かぶ。
なんで師匠が……。
その時、俺の横のウィルがダビドに向けて動き出した。
そして、それに合わせてルイーズさんが動こうとする。
ウィルは俺の事を信じているのか、ルイーズさんの事は気にせずダビドへ向かう。
そうだ、俺が師匠と戦うと言ったんだ……仲間と、世界を守る為に!
「師匠! 師匠の過ちは俺が止めます!」
俺はウィルへ向かおうとする、ルイーズさんとのウィルの間に割って入った。




