第三百九十八話 対ダビド その8
俺は動きを加速させると、ダビドの周りを四方八方へと移動しながら、剣を振るい。
「ナゼダ? ナゼナンダ!?」
ダビドはダメージを受けながらも必死に反撃を試みるが、それはそれ躱しながら攻撃を加える。
「ウィルはさすがだね! 風の
を使いこなすなんて」
俺の中で、シルフィが声をかけてくるのに、俺は「これは俺の努力の成果だ。おまえの力はその補佐にすぎない」と返す。
そうだ、魔力こそ借りているけど、俺はこれまでハルとロイに負けないように努力してきた。
そして、これが俺の見つけた戦い方だ。
シルフィは『はいはい、分かってるよ』と言って、自分の仕事に集中しだした。
精霊ってみんなこんなのだろうか?
まぁいい。
俺はダビドを倒すのみだ。
「うぉぉぉおおおお!!」
俺はさらにスピードを加速させ、剣を振るい続ける。
「ク、クソォォオオオ!!」
ダビドの強化された身体が俺の攻撃によって、徐々に切り裂かれていく。
「これで終わりだぁぁぁあああ!!!」
その様子を見て、俺は剣に魔力を全力で流すとともに、剣のまりに渦巻くように風を纏わせ、貫通力を高め、ダビドへと突き刺す。
「ソンナバカ……ナ……」
俺の攻撃を心臓に受けたダビドは、黒い霧となって消えていく。
「ダビド、おまえは人や物に頼り過ぎた。次生まれた時は自分を磨く事だな」
俺は消えゆくダビドに言葉をかけ、振り返る。
「お兄様!!」
「ソニン……父の仇は打った。もうゴルゾーラ教の好きにはさせない」
「はい!」
俺とソニンはダビドがいた場所へ背を向け、他の戦場へと目をやった。




