第三百九十三話 対ダビド その2
「……小癪な奴ですっ!」
ダビドはそう言うそと、無詠唱で無数の漆黒の矢を放ってくる。
そして、前方から無数の矢が隙間なく、俺の方へと襲いかかってくる。
「させませんわ!」
しかし、それに呼応するように、ソニンが無詠唱でウインドカッターを放ち、向かってくる漆黒の矢を切り落とす。
「まさか小娘如きに私の魔法がっ!?」
「失礼ですわね! 人を使ってばっかいたあなたに負ける訳がありません!」
ソニンはハル達と特訓してた事で、魔法の威力も魔力も上がっている。
努力していたのだ。
それに比べて、ダビドは人を魔人化させたりして、自分の代わりに戦わせていただけだ。
そんな奴に努力してたソニンが負けてなるものか。
「くそっ!」
今の一連のやりとりで魔法は通じないと思ったのだろう。
次は接近戦とばかりに、こちらへ向かいながらローブの中から短剣を取り出す。
そのスピードは確かに速い。
でも……。
「ハエが止まっているように見えるぞ」
「くっ……」
それでも、俺にしたら全然問題なく対応できるくらいだ。
俺たちは今まで努力してきた。
それに俺たちは背負っているものがある。
「さぁダビド、終わりだ」




