第三百八十三話 最後の晩餐 その2
「おいロイ、俺の話聞いてるかぁ〜?」
「聞いてる聞いてる。ハル、飲み過ぎだぞ」
「たまにはいいだろ? おまえに俺の気持ちが分かるか?」
「分かった分かった! ほら飲め」
俺はロイに渡されたエールを一気に飲み干す。
あ〜酔うとこんな風になるのか〜なんか幸せだな。俺も初めからこうしとけば良かった。
俺はいつもは飲んでも抑えたり、途中で解毒魔法かけたりしてそこまで酔わないようにしてたけど、今日はシャーリーの事、そして周りを見ているとどうしても酔いたい気分になった。
たまにはいいだろうと思って酔っ払うと、気分が良くて俺はいつもと立場が逆になり、ロイに絡んでいる。最初はロイの話を聞いていたけど、酔いが回ってきた俺は途中からロイの話に言葉を被せ話の主導権を握った。
そこから俺はロイに愚痴っている。
ロイは酔っていたけど、途中から理性を取り戻したのか、俺の気持ちを理解してくれたのか俺の話を聞いてくれている。
なんだかんだ言ってやっぱロイとは腐れ縁だ。
素直には言えないけど、俺はこいつに出会えて良かった。
「ハル、大丈夫か?」
「おっ! ウィル!」
ウィルもいい奴だ。
こいつもなんだかんだ言って優しい奴だし。
それに、こいつもいろいろ辛い事があったのに表に出さない。精神力も強いし、それに真面目なところとか見習うところも多い。
だから、こいつも幸せになってほしいと思う。
「ウィル……ルルの事をどう思っているんだ?」
「急にどうしたんだ?」
「いいから座って飲め! ほら!」
俺はウィルに座るように促して近くにあったエールを渡す。
視界の端でロイがやれやれと言った顔をしている。ごめん、今日だけは好きにさせてくれ。
「む、分かった」
ウィルは素直に俺の言葉に従って座り、エールを一気に飲み干す。
よし、おせっかいだと思うけど、俺はみんなに幸せになってほしい。
「ウィル、あのなーー」
俺は余計なおせっかいだとは思いながらウィルに話出した。




