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第三十九話 闘技大会 その7

 決勝当日。

 俺は窓から入る太陽の光で目を覚ました。

 幸い、昨日の夜に騒いだ影響はないみたいだ。

 逆に疲れて熟睡出来たからか目覚めがいい。

 窓から外を見ると雲ひとつない青空だ。


 「よし、やるか」


 俺は庭に出てウォーミングアップをする事にした。

 ウォーミングアップをしながら今日の決勝のイメージトレーニングをする。

 ルイーズさんは昨日俺が使ったのと同じものを使うらしい。

 ロイの技術より上で、俺が使った身体強化の応用よりも精度が上。

 普通に考えたら勝てないかもしれない。


 「戦う前から弱気か?」

 「ちょっと! ハル君! 仮にも私たちに魔法を教えてる(・・・・)んだから簡単に負けたら許さないわよ?」

 「あ、あの〜……私はハル君が無事なら……でも頑張ってください!」


 振り返るとロイとアリィとシャーリーが揃っていた。

 なんだかんだ言ってみんな俺を応援してくれてるみたいだ。


 「大丈夫だよ。勝ってみせるさ」


 どこまで通用するか分からないけど自分の全力を出し切ろう。

 そう決意し、決勝の舞台に向かった。




 『さぁ〜今日はついに決勝戦! 決勝はある意味予想通りかそれとも予想外か! でも今までの大会の中でも最高の対戦カードだろう! では、紹介しよう! 予選を危なげなく勝ち進んだ我がアースハイト王国の王子ロディーン様を破り、幻想級ドラゴンを倒し我が国を救った英雄ハル!』


「わぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 司会の煽るような紹介に会場のテンションも一気に上がる。

 歓声もいつになく大きい。

 でも、昨日ロイに勝ってしまった為か黄色い歓声は俺には向かなかった。


 『対するは闘技大会優勝常連者で、世界最高の剣士と呼ばれるランクS冒険者、ルイーズ!!』



 「わぁぁぁぁぁ!!!!!」

 「きゃぁ!!!ルイーズ様!!!」


  ……なんでロイといい、ルイーズさんといい、女の子に人気があるんだ?

 俺ってそんなに顔悪いか?

 そんな事を考えているとルイーズさんが観客に応えながら舞台に登る。

  ……チャラい、チャラ過ぎる!

 俺はこんなチャラいおっさんに負けるものかとヤル気スイッチが入った。

 ルイーズさんがこっちを見て微笑む。

 しかし、目は違った。

 ひと言で表すなら、まるで獲物を狙うような目。

 俺は気を引き締めた。



 『では、闘技大会決勝……はじめ!!!』


 俺とルイーズさんの戦いが始まった。


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