第三百六十六話 シャーリーの心の中へ その10
「ーーっ!?」
その瞬間、目の前の存在の顔がシャーリーにだぶって見えた。
そうだ、シャーリーはいつも笑っていた訳じゃない。悲しんだり怒ったりもしていた。それも含め全部がシャーリーなんだ。正の感情も負の感情も含めて全部がシャーリーなんだ!!
「ーーっ!? ハル君!?」
そう思うと俺の身体は自然と動いていた。
俺は駆け出し目の前の存在へと向かっていた。
俺はシャーリーのすべてを守る!!
今度こそ守るんだ!!
「シャーリーっ!!」
俺はシャーリーの姿をした存在を抱き締める。
そうだ、どんなシャーリーでもシャーリーはシャーリーなんだ! だから俺はシャーリーのどんな想いも言葉も受け入れる!
「ぐっ……!!」
俺が抱き締めた事により、闇の雫の影響受けているでたろうシャーリーの一部の存在と触れ、ルルが張ってくれた結界が徐々に侵食されついには結界は壊れてしまった。そして、闇の雫が俺の精神体である身体を侵食しようとする。
「ハル君!?」
「大丈夫だ!!」
その光景を見たルルが詠唱を開始しようとするが俺はそれを制止する。
これは力づくじゃだめなんだ。闇の雫が心を闇に染めようとするなら俺も気持ちでシャーリーの心を照らして救わないといけない!
絶対負けてたまるものか!!
俺は闇の雫に負けてなるものかシャーリーを抱き締める腕に力を入れた。




