第三十八話 闘技大会 その6
「師匠!!」
ロイが叫ぶ。
なるほどこの人がロイの師匠のルイーズさんか。
見た目は背が少し高め、筋肉は隆々といぅワケではなく程よくついてる感じで髪の色は緑。
んー……モテそうだ。
「おう、ロイ! 久しぶりだな! しばらく見ないうちにまた上達したな」
ルイーズさんはロイと挨拶を交わすとこちらに向き直り俺に声をかけた。
「ハル君……だっけか? 噂には聞いてたけどまさかあれを使うとはね。まぁまだまだ制御は出来てないみたいだけど。でも、明日が楽しみだ」
ルイーズさんはそう言うと踵を返し、出口の方へ向かう。
「今日は疲れたし休むわ! じゃぁハル君明日はお手柔らかに! ロイもまた明日が終わったらゆっくり話そう!」
歩み出した足を止め振り、その言葉を残すとそのまま出口に消えていった。
……嵐のように来て嵐のように去って行った。
それにしても軽い!
軽過ぎる!
仮にも王族のロイを……って俺も人の事言えないか。
でも、軽い!
これだけは断言できる!
それに俺、何も喋ってないんですけど……。
俺はルイーズさんの背中を見ながら、そんな事を思った。
「……ハル、あの人はあーいう人なんだ。気にするな」
そっか。
……って相変わらずロイは俺の心を読むな。
「何か軽い人でしたね……」
シャーリーの追撃!
やっぱり思ったのは俺だけじゃなかったみたいだ。
「まぁ、性格は軽いけどあの人、実力は確かよ」
珍しくアリィが素直に認めてる。
やはり実力は確かなものなんだろう。
でも、見た目と性格があれだからな〜。
まさか!?
あれは敵を油断させる為の作戦か!?
「あの人は素であの性格だ」
そうか。
……だからなんでロイは俺の心が読めるんだ!?
まぁとにかく今日は勝てたし明日はルイーズさんと戦える。
明日に備えるのが一番だな。
俺は明日に備えて早く休む事にした。
と思ったら夜にアリィが決勝の前夜祭とか言って四人で騒ぎまくってしまった。
まぁおかげで緊張する間も無く疲れて一瞬で深い眠りにつけたのは怪我の功名ってやつかもしれない。




