第三百六十五話 シャーリーの心の中へ その9
「ハル君下がってください!!」
どうすればいいか迷っている俺の前にルルが立つ。
「ルル……?」
「私が神聖魔法であのシャーリーさんの偽物を浄化させます! ……完全に効くは分かりませんがさっきの黒い霧みたいに一瞬なら消せるかもしれません! その間にシャーリーさんを!」
ルルはそう言って詠唱態勢に入る。
「ルルちょっと待ってくれ! ルルもさっき言ったじゃないか! あのシャーリーの中にシャーリーの気配を少し感じるって! それなのにシャーリーに向かっていくら神聖魔法とは言え魔法を放つなんて! シャーリーの一部があの黒い霧と融合してたらシャーリーに何かあるか分からないだろ!?」
「でも……あの存在は危険です! さっきの黒い霧から形作られたようですし闇の雫の力……闇のオーラを感じます!!」
「でも……」
あの存在の中に一部シャーリーの気配を感じるのに……神聖魔法で浄化出来たらいいけど万が一……。
俺が考えている間にシャーリーでないシャーリーはゆっくりと俺とルルの方へ歩いてくる。
「ハル君! やっぱり危険です! 私が神聖魔法を使います!!」
ルルはそう言って詠唱を始める。
「世界に宿りし光の精霊よ。我、汝の導きによりーー」
どうする? このまま俺は見ていたらいいのか?
どうする……?




