第三百六十四話 シャーリーの心の中へ その8
「っ!?」
シャーリーの姿をした存在はシャーリーの声で俺に声をかけてくる。
『どうして守ってくれなかったの?』って言葉は俺の胸に刺さり俺の心に苦い思いが広がる。
「どうしてなの? 私の事嫌いになったの? それとも違う女の人がいいの? もっと魅力的な女性の方がいいの? それともーー」
そして、次々に俺へと言葉を放ってくる。
「そんな事ない!! 俺はシャーリーの事が好きだ!」
それはその言葉に反射的に叫んで返す。
俺がシャーリー以外の女性を好きになる事なんてないしシャーリーの事が好きだ。
「じゃあなんで他の女の人を見るの? なんで守ってくれなかったの? なんで私が苦しい思いをするの? なんで?」
「それは……」
「ハル君気をつけて!! その者はシャーリーさんではありません!!」
ルルは俺に向かって叫ぶ。
ルルの言う通り目の前のシャーリーはシャーリーであってシャーリーじゃない。その事は頭で分かっているはずなのに目の前のシャーリーが言う言葉が俺の胸に刺さる。
「ねぇハル君、なんで? なんで辛い思いをしないといけないの? ねぇなんで?」
「シャーリー……」
俺はいったいどうしたら……。




