第三百六十話 シャーリーの心の中へ その4
俺とルルはそのままルルがシャーリーの気配のするという方へと向かう。
すると、暗闇の中にぼんやりと光る場所が見えて来た。
あれは……もしかして……。
「ルル」
「はい、おそらくあそこにシャーリーさんが」
どうやらそのようだ。
あそこにシャーリーがいる。待ってろシャーリー、必ず助けるから。
「ハル君! ちょっと待ってください!」
シャーリーの元へ走ろうとする俺をルルが呼び止める。
「なんだ? どうした、ルル?」
「ここから先に闇のオーラを強く感じます。だから……」
そう言ってルルは目を閉じ詠唱を始めた。
「世界に宿りし光の精霊よ。我、汝の導きによりこの命を捧げる。その誓いの代償に我に力を与え我たちを守りたまえ。聖なる障壁!!」
ルルが詠唱すると俺とルルの周りを淡い光が覆う。
「これで多少の防護にはなると思います。どこまで対応出来るか分かりせんが……」
「いや、心強いよ」
俺も一度魔人化しかけた人間だ。
闇が人間の心の隙をついて入ってくるのは知っている。ひとたび心に入られたら力の強さは関係ない。ここはシャーリーの心の中だ。心の中だから力は関係ないし闇の雫がどう言った形で俺たちを妨害するか分からない。だからルルのこの神聖魔法による結界は助かる。
「さあ行こう」




