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第三十七話 闘技大会 その5

 俺とロイは剣を収める。


 「まさか、やられるとはな」

 「いや、こっちもいっぱいいっぱいだよ」


 俺とロイは言葉を交わす。

 実際には剣術に関しては俺の方が若干負けているだろう。

 俺は身体強化の魔法の応用で何とか勝てた。

 魔力を特定の場所に集中させ、能力を飛躍的に向上させる。

 一般的な身体強化魔法が身体全体を平均的に上昇させるのに対して、これは局所的に能力の上昇を集中させる。


 「まさか、ルイーズさんがやっている事をやるとはびっくりだ。ハル、またそれ教えてくれよ?」


 何?

 ルイーズさんはこれが出来るのか。

 これは魔力の制御が魔法として放つのとは違い、その場にとどませる為、難しい。

 俺はまだ制御が出来てないけど、魔力量に物を言わせて使っているような状態だ。

 普通の人なら魔力が制御出来ないと、魔力が垂れ流し状態ですぐ魔力が尽きてしまう。


 「ルイーズさんはすごい人そうだな。ロイはこれは教えてもらわなかったのか?」

 「一応、教えてもらったけど説明がな……。最初のハルの説明と一緒で。魔力をぐわ〜っと貯めて留めて、動く瞬間に魔力を使ってパッと動く感じで。でも魔力は使わない方向で、とか言われてイメージが……な。魔法と違って放つワケじゃないから魔力の制御が出来なくて漏れ続けて魔力切れになって……。だから、とりあえずは技術を磨く事にしたんだ」


 ……ルイーズさん、同じにおいを感じます。

 おそらくルイーズは天性の才能の持ち主で感覚でやってきたのだろう。

 俺と同じ感覚派ってやつだな。

 でも、ロイも技術だけでもって言ってるけどそれまけ身につけるとはやはり才能があるのだろう。


 「まぁいいけど俺も使いこなしてるワケじゃないから一緒に訓練って感じになるかな?」


 そう言って俺とロイは舞台から降りようとした。

 すると、シャーリーとアリィが走り寄ってきた。


 「ハル君! 大丈夫!?」


 そういえば、俺は左腕を負傷していたんだっけ。

 俺は自分で治癒魔法をかけようとしたけど、それより早くシャーリーが治癒魔法をかけてくれた。

 驚いた事に治癒魔法の上級魔法を無詠唱で使っている。

 そして効果も一般的な人が使用するより強力だった。

 きっと一人でも訓練していたのだろう。


 「よかった。傷跡残らなくて……。ハル君、おめでとう!!」


 そう言ってシャーリーは微笑んでくれる。

 俺はとてつもなく抱きしめたい衝動にかられたけど必死に耐えた。

 魔力制御に匹敵する難しさだ。


 「ありがとう。シャーリーの応援のおかげかな?」


 「はわわ!? いや、私の応援なんか……あの、その〜……ゔぅ〜……」


 シャーリーは顔を赤くして顔を手で覆い座り込んでしまった。

 ふと横を見るとアリィとロイが向き合っていた。


 「ロイ君、ケガはない!?」

 「あぁ、大丈夫だ」

 「よかった……心配したんだから……」


 そう言ってアリィはロイに抱きついた。

 ロイはアリィを抱きしめ頭を撫でている。

 ……くそ!

 リア充しやがって!

 てか、思ってた展開じゃないしアリィのこんな姿は新鮮だった。

 俺はロイをからかうような視線を送った。

 しかし、ロイは慌てるどころか

 『だからどぅした?』とでも言いたげな視線を送ってくる。

 何か俺が惨めだ。

 なぜだ?

 俺は勝ったはずなのに……。

 その時だった。


 「いや〜凄かった! いい試合だった! 間に合って良かったよ! 君が噂のハル君かい?」


 一人の男が俺に声をかけてきた。

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