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第三百四十二話 霊峰フォルクレストでの出来事 その7

 これはあの時(・・・)と同じだ。


 俺が前の体験を思い出していると靄が晴れてきて巨大な影がはっきりと見えてきた。


 「まさか!?」

 「そんな……」

 「どういう事!?」


 ルルとビアンさんは驚きのあまり動けず、ウィルはすぐさま剣を構えて二人の前に立つ。

 

 「ドラゴン……」


 俺は村を襲われた時の事がフラッシュバックし身動きが取れなかった。今までのドラゴンはドラゴンと言えど声を発する事もなかったし、存在感自体も村を襲ったドラゴンは別格だった為そこまで動けなくなる事はなかった。

 しかし、目の前にいるドラゴンは村を襲ったドラゴンと同等……いや、それ以上の存在感を放つ。

 見た目は巨大だが、歳なのかどこか老齢を感じさせる顔で猫のように丸まって横になったままあまり動こうとする気配はない。だけど、鱗は金色で纏うオーラも半端ではないものを感じさせる。


 『ソウ警戒スルナ。清キ心ヲ持ツ者ヨ』


 またも直接脳に響くような声で俺たちに言葉をかけてくる。


 「……おまえは俺たちの敵ではないのか? ドラゴンは俺たちを襲ってきたが?」


 ウィルの言う通りドラゴンは今まで俺たちの敵だった。それを警戒するなって言われても……。


 『我ハソコラノドラゴントハ違ウ。容易ク精神ヲ乗ッ取ラレル事ハナイ。ソレニ心ヲ闇ニ染メル事モナイ』

 「ーーっ!?」


 こいつはなんだ? なんでドラゴンがゴルゾーラ教の魔獣化によって操られたってのも知ってるような言い方なんだ?


 「……おまえはいったい何者なんだ?」


 『我ハ創造神ノ盟友デアリ、光ノ精霊ルクスノ守護ヲシテイル神竜ルチアナリ』

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