第三百三十九話 霊峰フォルクレストでの出来事 その4
俺たちはただひらすら霊峰フォルクレストの頂上を目指して歩き続ける。
どれくらい歩いただろうか。
雲の中に入ったようで周りは霞んで山の下を見るとだいぶ高いところまで来たのが分かる。
それでも上を見ればまだ先がある。
いったいどれだけ歩けば着くのだろう。
「ルル、ビアンさん大丈夫?」
「私を誰だと思ってるの? だてにダンジョンに潜ってないわ!」
「はい……大丈夫です……」
いやいや、ビアンさんあなたの事は研究者だと存じておりますが? 本業は冒険者ではないでしょう?
それにしてもやっぱりルルには少しきつかったか。少し休憩した方がいいかな?
「ルル、ほら手を貸せ」
「えっ……あっ!?」
そう言ってウィルがルルの手を取る。
一瞬ルルは何が起きたか分からない様子だったけど、状況が脳に伝わったのか段々と顔が赤くなってきた。
「ルルどうした? ……まさか熱か!?」
そう言ってウィルはルルに顔を近付け手を額に当てる。
「だだだ、大丈夫です!! 先を急ぎましょう!」
ルルはそう言ってウィルの手を引いて歩き出した。
……ウィルよ、お前は天然か?
「いいねぇ〜青春だねぇ〜」
隣ではビアンさんが遠い目をしながら呟いていた。




