第三百三十話 イシュテリアでの出来事 その2
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「なるほどね……」
俺の話を聞いたビアンさんは腕を組んで目を閉じる。その顔は至って真剣であのダンジョンでいつも見ていたキャラとは違うものになっている。
あの魔方陣を見つけて調べていた時の表情だ。
その表情を見れば何か声をかけてはいけない雰囲気であり、まさに研究者が思考を巡らせている顔であり決して邪魔出来るような状況ではない。
ビアンウィルとルルもビアンさんが口を開くのをじっと待っている。
そしてしばらくの間、沈黙が流れた後、ビアンは目を開け俺たちを見て口を開いた。
「……まず、私は闇雫ってやつは知らないね。でも、シャーリーちゃんの様子を聞く限り闇の雫はハル君の言う通り精神に作用するものだろうね。そして、それは負の感情……心の闇の部分に作用する」
「闇の部分……」
「そう、闇の部分。どんなに良い人って言われる人間にも負の感情がある。その部分に働きかけ心を闇に……ハル君の言う魔人化を引き起こさせようとするんだろうね」
そんなものをゴルゾーラ教は作り出したのか……。
「それでシャーリーちゃんはきっとそれに負けないように戦っている。……でも、少しの量でそんな状態になるものにこれまで耐えられているのがシャーリーちゃんの気持ちだけなのかハル君が言った淡い光に何かあるのかは見てもいない私には分からないし何とも言えない。ただ言えるのはきっとシャーリーちゃんは頑張って戦っていると言う事。……でも、どうしても闇の雫の威力に勝てない……そんな状況かしら?」
ビアンさんは断定せずに言っているような感じで言うけど、俺もそんな気がする。
「どうやったらシャーリーは戻るんですか!?」
ビアンさんは少し間を置いて考えると口を開いた。
「……闇の精霊の対にある精霊……光の精霊に頼るしかないと思うわ」




