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第三百二十七話 魔法都市イシュテリア

 「ここが魔法都市イシュテリアか……」


 俺の目の前には今までの国で見た事がない光景が広がっている。

 球体をした屋根や四角錐のようなオブジェ、それからローブ姿の人が多い。ローブ姿と言ってもラース教皇国とは違い赤や緑、茶色や青色といった四大精霊の加護を受けた髪と同じ色のローブを着ている。

 なんていうか今までの国とはまた異質の違いがある。これは驚いたな……。


 「何か全く違う国……いや、違う星に来たみたいだな……」

 「そうですね。話には聞いていましたけど実際目にすると……」


 ウィルとルルも隣で目の前の光景を見て呆気に取られている。


 「ルル、何があるか分からない。側から離れるなよ」

 「は、はい!」


 ……。

 ウィルの奴、素で深い意味を考えずに言ってるんだろうけどなんだかな……。

 ルルはルルで嬉しそうだし。

 

 ここに来るまで俺たちは道中、魔法都市イシュテリアへ向かいながら夜になるとアースハイトへ戻ってシャーリーの様子を見て休み、朝になると空間魔法で進んだところから進み魔法都市イシュテリアへ向かうってのを繰り返した。

 その道中でしきにりウィルがルルを気遣い、


 『ルル、足は痛くないか? 大丈夫か?』

 『今まであまり出歩いた事がないだろ? ダンジョンの疲れも残ったままいろいろあったし何か身体の具合が悪くなったら言えよ?』


 と言った感じで俺から見ればただのイチャつきカップルとしか思えない言動を見せつけられた。

 でも、ウィルにはおそらくそう言うつもりで言ってる訳ではないからルルも可哀想なものだ。

 ……まぁルルはルルで嬉しそうだからいいか。


 「じゃあさっそくビアンさんを探そう」


 俺はそう言って魔法都市イシュテリアへ足を踏み入れた。

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