第三百二十話 クロードの過去
「……実はクロード兄ちゃんの家、アルフォンソ家は半年程前に皆殺しにされたのです」
「「「!?」」」
ラートの言葉に俺とロイ、ウィルの三人は目を見開き驚いた。
皆殺し……いったい何が!?
「お、おいラート! 皆殺しって何だ!? 何があったんだ!?」
俺より先にロイがラートに問いかける。
ロイとしては国の貴族が皆殺しにされるという事態に驚きを隠せないのだろう。
それにしても貴族が皆殺しとは……。
「……サラージ王国は二年前から変わり始めました。武器を集め、税を上げ、挙げ句の果てには俺たち鍛治職人にも武器製造を強要するようになりました。対外的には師匠が武器の作りやすい環境を求めてってなってますけど、半分は正解で半分は違うんです。師匠はサラージ王国に武器を提供するのは良くない事が起こると思ったんです」
サラージ王国がそんな事になっていたとは……。ここまで対外的に話が漏れないのはなんでだ? ギルドも、気づいていないっぽいし……。
「サラージ王国の国王の裏には何やら怪しい者がいるとは噂になったんですが足を見せず噂止まりだったんです。でも、明らかに国王や大臣達の様子がおかしくなっていって……」
二年前……ドラゴンが現れた時期くらいか。
そして、イストニア帝国も裏で暗躍していた組織があった。……ゴルゾーラ教の仕業か?
「それに異を唱えたのがアルフォンソ家だったのです」




