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第三百十九話 ラートの過去

 「お兄ちゃん? 遊んでもらった……?」


 ラートから出た言葉を俺は聞き返す。

 クロード……あの男の名前か。それにしてもラートが小さい時に遊んでもらっていたという事、そしてお兄ちゃんって呼んでいるって事は兄弟なのか?

 でも、なんで魔人化を……?


 「あぁ……いえ、本当の兄弟ではないんっすけどね。僕は小さい頃に両親が魔物に襲われて死んだらしくて……偶然通りかかった冒険者に助けられてサラージ王国の孤児院に入れられたんすよ。

 そして、その時にクロード兄ちゃんとは出会ったんです」


 まさかあの男とラートにそんな関係があったとは……。

 ロイとウィルも少し驚いた表情をしている。


 「まだ小さかった俺は両親がいない事、そして髪の色が違うって事で街に出たらよその子供にいじめられたんですよ。それである時からグレて街でやんちゃしてました。その時、一人の豪華な服を着た男の子見つけて俺はちょっかいをかけたんすけど、逆に負けたんです。

 それがクロード兄ちゃんでした。

 クロード兄ちゃんは強くて俺は歯が立ちませんでした。

 でも、クロード兄ちゃんは俺を負かした後、俺に言葉をかけてくれました。

 『それだけ力があるならみんなの為になるように使え』と。

 そして、クロード兄ちゃんの勧めで俺はクロード兄ちゃんの家、アルフォンソ家の世話になってアドルノさんの元へ養子に来たんです。

 それ以来、俺はクロード兄ちゃんを兄の様に慕って来ました。そして、クロード兄ちゃんも俺の事を弟の様に可愛がってくれました」


 そんな事があったのか。

 ラートの話を聞く限りではあの男は心を闇に染めそうにないけど……。

 カルザルが言うには自ら闇の精霊に心を捧げないと自我が保てないらしいし。


 「そんなことがあったのか……でもラート、クロードって奴は自我のある魔人だ。俺が知る話では魔人化で自我を保つには自ら闇の精霊に心を捧げないといけないらしい。今の話を聞く限りではクロードって奴は自ら闇の精霊に心を捧げるようの奴に思えないけど何かあったのか?」


 俺の言葉にラートは悲しげな表情を浮かべながら下を向く。そして、少しして顔を上げた。


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