表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
339/494

第三百十五話 師匠

 あの時、俺たちの目の前に師匠……魔人化したルイーズさんが現れた。

 ダビドが勝手にいろいろ話したけど、ルイーズさんは奥さんと子供を……。


 「ハル、やっぱりルイーズさんは魔人化してたよ……。俺がいくら叫んでも表情の一つも変わらなかった」

 「ロイ……」

 「どれだけ叫んでも、剣を交えても師匠は何の反応も示さなかった……心を失っているようだった。でも、そりゃそうだよな。奥さんと子供をダビドに……ハル俺はダビド……ゴルゾーラ教を絶対許さないっ!!」


 同じだ……。今のロイは俺がシャーリーを守れなくて自分を憎み、ダビドを憎んで心を憎しみで埋めようとしていた時と一緒だ。

 このままじゃこの心の闇をゴルゾーラ教に利用されてしまう。


 「ロイ、戦う理由って何だろうな?」

 「……ハル?」

 「俺もロイと一緒の気持ちだ。シャーリーを守れなくて自分を憎み、ダビド、そしてゴルゾーラ教を憎んでいた。でも、なんだろうな? 今は少し違う……それを教えられた」

 「教えられた……? 誰に? 何を?」

 「俺はシャーリーに言われたんだ。憎しみ心奪われちゃだめ、怒った顔は嫌、笑って……ってな。その時教えられたんだよ。俺の戦う理由は憎しみからくる復讐じゃない。俺はシャーリー……大切な人達を守る為、そして大切な人達が笑って……笑顔で楽しく過ごせる為に戦ってるってな」

 

 俺はあの時心を憎みで埋め、魔人化しかけていた。俺は戦う理由を履き違えていたんだ。きっと戦う理由を間違った時、悲しむ人が出てくるだろう。憎みが憎みを生み復讐が復讐を生む。

 だからきっと戦う理由は間違っちゃいけないんだ。


 ロイは俺の話を黙って聞いて目を閉じていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ