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第三十二話 模擬戦

 「いいだろう」


 ロイも俺が『エターナル・ログ』でどれくらい剣術が上達したか気になるのだろう。

 魔法は知識があれば一気に上達する事が可能だけど剣術、体術などは知識があっても身体が反応しないと意味がない。

 俺もそのあたりが気がかりだったので確かめたかった。

 シャーリーとアリィが見守る中、俺とロイが向かい合う。

 今回は魔法なしだ。


 「はじめ!」


 シャーリーの掛け声で模擬戦が始まる。

 しかし、ロイは動かない。

 ロイは俺の出方を窺っている。

 そっちが来ないなら……。


 俺はロイの意表をつく為、距離を詰め、斬りかかるのではなく突きを繰り出した。

 ロイは俺の動きを読みきっているのか、見えているのか、慌てる事もなく半身になる事で突きをかわし、カウンターで斬りかかってくる。

 俺はそれを横に飛びかわし、空いた脇腹に横薙ぎに斬りかかる。

 しかし、ロイはそれを剣で受け止めた。

 そして、ロイは俺の剣を弾くとともに斬りかかってくる。

 俺はそれを受け流しカウンターを入れる。

 しかし、ロイも素早く剣を引き戻し受け止める。

 そしてお互い後方へ飛び距離をとる。


 「なかなかやるな」

 「おまえこそ…な!」


 俺は距離を詰め連続で突きを繰り出す。

 ロイはそれを上半身を動かす事でかわしていく。

 俺は突きの途中で軌道を変え、横薙ぎに斬りかかる。

 ロイは意表つかれたからか受け流す事は出来ず、剣で受け止めた。

 俺はその直後、反動を利用し剣を引き寄せ、斜めから斬りかかる。

 ロイはそれを剣で受け止め、反動を利用しロイは後方へ飛び距離をとった。

 俺は追いかけるように距離を縮め、ロイとの距離が縮まったところで視界から消えるように屈み下から切り上げた。

 俺の剣はロイの首元で止めてある。

 しかし、俺の目の前にはロイの剣先があった。

 結果は引き分けだ。


 「ハル……やるな」

 「ロイこそな」


 やはり、実戦に近い模擬戦をして分かった事がある。

 確かに能力は継承されているようだけど実際思い描いている太刀筋よりはまだまだだし、動き自体もスムーズではない。

 能力の6、7割くらいだろうか。

 これはやっぱり身体に覚えさせる為に訓練が必要だな。

 それでもそれと張り合えるロイはスゴイと思う。

 ロイも『エターナル・ログ』の力を継承した俺と引き分けてとりあえずは満足らしい。


 「なぁロイ、おまえに剣を教えた師匠ってどんな人だ?」

 「え? あぁ、ルイーズさんか。ランクSの冒険者、剣術に関しては1番ではないかと言われてる」


 半端な人じゃないとは思ったけどそんな人だったとは……。


 「よく、そんな人に教えてもらったな」

 「まぁ、俺が中途半端な奴には教えてもらいたくないって言ってたからな。闘技大会に出場して優勝したルイーズさんに父さんが声をかけたんだ。そしたら心よく引き受けてくれたみたいだ」

 「そっか。気前がいい人なんだな」

 「いや、実は後々知ったんけどな、ルイーズさんはうちのメイドの事が気に入ってたらしい。なんでも大会前に城に寄った時に一目惚れしたらしくてな。引き受けるのと引き換えにそのメイドを紹介してもらったらしい。それで、結構長く付き合ってたみたいなんだが、いろいろあって別れて自分を見つめ直すと言って国を去って行ったんだ」


 ……そんな理由なんだ。

 最強の剣士のイメージが俺の中で崩れ去った。


 「ハル……言いたい事は分かるけど腕は確かだぞ?」


 確かにロイの腕から見たら相当な腕なんだろう。

 まぁ無口な剣士より、キャラが近い人の方が接しやすいしな。


 「なぁ、俺もルイーズさんに教えてもらえるか?」

 「まぁハルには恩があるし頼んでみよう」


 よし。

 ルイーズさんこの時代で一番と言われているルイーズさんと訓練できればかなりの経験になるはず。

 少し先が見えてきた気がする。


 ちなみに模擬戦の後、シャーリーとアリィに俺とロイは怒られた。

 俺たちのスピードは速すぎて何が起きてるか分からないまま気づけばお互いギリギリのところで剣を突きつけあっていたらしい。

 だから、


 『あんなスピードでして何かあったらどうするの!!』


 ってものすごい剣幕で怒られた。

 俺は心の中で剣術の訓練の時はこの二人がいないところでしないとなって思った。

 すると、ロイもこちらを見て頷いていた。


 ロイとの間の男の友情がさらに深くなった瞬間だった。


うぅ〜…

戦闘描写が苦手です。

なかなか書いててしっくりきません。

アドバイスとかあればお願いします。

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