第三百十六話 シャーリー救出戦 その19
俺の魔力を纏わせた剣は黒い膜と接触すると黒いオーラと魔力の淡い光との間で白と黒の光が互いを拒絶するように火花のように弾ける。
「くっ!!」
少しの間その二つの光は拮抗していたけど、やがて俺の魔力である白の光が優勢となり黒いの光は弱くなっていく。
「うぉぉおおお!!」
最後の仕上げとばかりに俺は声を出して魔力を強める。
「はぁはぁ……」
黒い膜はガラスが割れるかのように粉々に散ったかと思うと、すぐにその存在が消え何も残らなかった。
「シャーリーっ!! しっかりしろ!!」
俺は黒い膜を破壊すると、急いでシャーリーの元へと駆け寄りシャーリーを抱き抱える。
「シャーリー!! シャーリー!! 起きてくれ!!」
俺は必死にシャーリーに呼び掛けるけど、シャーリーは意識を取り戻すどころか反応もない。
「まさか……」
俺はシャーリーの手首に人差し指と中指を当て、シャーリーの顔へ耳を近づける。
……良かった。脈はあるみたいだし息もしている。意識だけが戻らないようだ。
なぜだ……? やっぱりあの闇の雫のせいか……?
「くそっ!」
どうする? 何か方法は……でも、俺も覚醒している状態でいつまでもつか分からない。
前に覚醒してドラゴンと戦った後は魔力、体力の消費のせいか意識を失った。
それを考えると一度ここから脱出する方がいい。
俺はその結論に至るとアースハイト王国の城の場所をイメージした。




