第三百十四話 シャーリー救出戦 その17
「っ!?」
俺は何か嫌な予感がして、女への攻撃ではなく全力で魔法障壁を展開する。
すると、次の瞬間暗い闇に包まれたかと思うと轟音と共に衝撃が俺を襲う。
くっ……なんだこの衝撃は!?
俺が覚醒している状態で全力で魔法障壁を張っているにも関わらず、気を抜くと魔法障壁を破られそうなくらいの衝撃が襲ってくる。
くそっ! もしかしてさっきの男みたいに自分の命と引き換えに魔力を絞り出したというのか!? ……さっきのダビドの言葉からすればそうかもしれない。でも、自分の命と引き換えにでも命令を遂行しようとするなんて……。
しばらくの間、衝撃が襲ってくるのを耐えていると徐々に衝撃は弱くなり、視界が晴れてくる。
やはり、俺の目の前にいた人影は消えているみたいだ。
ということは魔人化した女は男がしたみたいに自分の命と引き換えに闇の力を増幅させて使ったということだろう。
魔人化……自分の命すらも犠牲にしてでも任務を遂行する……ゴルゾーラ教はなんて事を……それにシャーリーまで魔人化させようとするなんてーー。
そうだ……シャーリー……シャーリーはっ!?
まさか、自爆するなんて考えてなかったし、覚醒した自分を過信し過ぎてしまった。
なんで先にシャーリーの身の安全を確保しなかったのか。あの黒い膜の中にいる間は多少の衝撃は大丈夫だと勝手に思っていたし、まさかこんな事をするなんて思いもしなかった。
これでシャーリーの姿がなかったら……。
俺は爆発によって起きた砂埃を払いのけながらシャーリーがいた元へ進む。
でも、さっきの轟音の割には洞窟が崩れるという事は起きていないようだ。
力の方向を俺の方へ集中させたのだろうか?
幸いにも俺はそれに耐えられて洞窟も崩れ落ちないという良い結果になった。
ん……あれは!?
俺の進む先には黒い膜に覆われたシャーリーが地面に横たわっていた。




