第三百十二話 シャーリー救出戦 その15
「くっ、いったいなんなんですかっ!?」
ダビドは俺の方を見て叫ぶ。
内心で俺も驚きを隠せない。なぜなら軽く魔力を流し込んだだけなのに剣から膨大な魔力が溢れ出て淡い光のオーラを纏っている。
まるで自分が自分じゃないみたいだ。
……でも、俺はこれを知っている。
「覚醒……」
誰に言うでもなく、俺は一人呟く。
これは村がドラゴンに襲われた時になったのと同じだ。
この溢れてくる魔力、そして銀色の髪。
あれから今まで覚醒する事なんてなかったのに……。
でも、良かった……これでシャーリーを助けられるっ!!!
「ウォォォオオオオオ!!」
魔人化した女が自分の剣に黒いオーラを漂わせながら俺に突っ込んでくる。
この黒いオーラ。本来なら手こずりそうだけど今なら……。
俺は女が迫ってくるのを、スローモーションを見るかのように見極め剣を振った。
「っ!?」
次の瞬間、女の剣は俺の斬撃により綺麗に折られてその光景を見た女は驚愕の表情を浮かべた。
「何が起こっているのですっ!?」
それと同時にダビドは叫ぶ。
ダビドは俺の急激な変化に驚いているのだろう。
「くっ!! おい! 時間を稼ぎなさい!」
続いてダビドは女に向かってそう叫ぶと、自分は黒い膜から抜け出して転移魔法陣の方へと走って行った。




