第三百十話 シャーリー救出戦 その13
「なんですっ!? この光は!?」
再度気を失ったシャーリーの傍らでダビドがシャーリーを包む淡い光を忌々しく睨みつけている。
どうやらダビドはあの淡い光を抜けてシャーリーに触れる事は出来ないらしい。
黒い幕の中にある淡い光。弱い光ではあるけど頼もしく見える。
とりあえずはシャーリーの身は安全なようだ。
でも、あの淡い光はいったい……?
「えぇい! こちらを手伝いなさいっ!」
ダビドがそう叫ぶと、魔人化した女はこちらを警戒しながら後退りして、くるりと踵を返しダビドの元へ向かう。
でも、俺はそれを止める事が出来ない。
なぜなら身体が言う事を利かないから。
でも……。
俺はシャーリーがかけてくれた言葉を思い出す。
『ハ……ル君? ハル……君は……憎し……みに……心、奪われ……ちゃ……ダメ、だっ……てハル……君は……優し……い人、だ……から……私、……ハル……君の……怒っ……た顔……嫌だ……よ? だ……から、笑……って?』
シャーリーはこんな目にあってまで俺の心配をしてくれている。俺のせいでこんな目にあってるのに。
『怒った顔』
俺は今どんな顔をしているのだろう?
シャーリーから見て今の俺の顔は嫌だと言っている。
『笑って』
俺は自分やダビドが許せない。
でも、シャーリーは俺が笑う事を望んでいる。
俺は……。
オマエノセイデコンナコトニナッテイルンダ。オマエハニクシミニココロヲユダネレバイイ。ソレコソガユウイツノミチダ。
……。
オマエノモクテキハナンダ? オマエハスキナヒトヲコンナメニアワセタヤツヲユルサナインジャナイノカ?
俺の目的……?
ソウダ。カンジョウノオモムクママニ……コンナメニアワセタヤツラヲコロスノガモクテキダロ!?
殺すのが目的……いや、違うっ!! 俺はシャーリーを守るのが目的だっ!!




