第三百九話 シャーリー救出戦 その12
「ダメだ……身体が……自分の身体じゃ……ないみたいだ……」
俺は黒いオーラに包まれたかと思うと目の前が暗くなってきて身体が言う事を聞かなくなってきた。
そう言えば前にもこんな事があったっけ?
確かあれはゴード=ザイールが父さんと母さんの話をした時だったっけ?
黒いオーラ……そうか、俺は憎しみに感情を奪われ、心を闇に染めようとしてしているのか。
……でも、憎い……ダビドが憎いっ!! そして、ゴード=ザイールも憎いっ!! 俺の大切な人を奪う奴は憎いっ!!!!
ソウダソウダ。モットニクメ。ニクシミデココロヲソメロ!!
「ゔぁぁぁああああ!!!」
そうだ……シャーリーが魔人化するなら俺もこのまま感情のままに心を闇に染めて魔人化して一緒に……ん? シャーリーっ!?
「な、なんです!?」
ダビドが驚きの声を上げ仰け反る。
突如シャーリーの身体が淡い光に包まれ、さっきまで苦しそうだったシャーリーの顔色が良くなり、薄っすらと目を開けた。
なんだ……? 何が……?
「ハ……ル君? ハル……君は……憎し……みに……心、奪われ……ちゃ……ダメ、だっ……てハル……君は……優し……い人、だ……から……私、……ハル……君の……怒っ……た顔……嫌だ……よ? だ……から、笑……って?」
えっ……?
「えぇい!! 小癪な小娘め!! 大人しくこれを飲んーーぐわぁ!!」
シャーリーの淡い光に近づいて闇の雫を飲ませようとしたダビドは淡い光に阻まれた。
「シャーリーっ!?」
シャーリーは言葉を絞るように口にするとまた意識を失った。




