第三百話 シャーリー救出戦 その3
俺は道を警戒しながら……でも、少し足早に道を進む。
今思うとこの洞窟はなぜか真っ暗ではなく、ぼんやりとではあるけど、視界が確保出来るくらいの明かりはある。そう、なぜか壁が適度に発光しているのだ。
エターナル・ログの知識を辿ると明光石というものらしい。この石は自らが光を放つ石であるようだ。
でも、俺がアースハイトで暮らしている中で、そして今までに見た事がなかった。でも、ただ俺が見た事がなかっただけで世間には出回っているのかもしれない。それでも、今までに見た事がないのだから今の時代では希少価値のあるものなのだろう。
そう言った事からもここはゴルゾーラ教の秘密基地みたいなものなのかもしれない。
幸い、この明光石のおかげで導きの光を使わなくていいしダビド達にばれないように近づく事が出来る。
「あれは……」
俺の視界の先に少し大きな空間が見えてきてそこから話し声が聞こえてくる。
「魔力が回復したら、ここを発って大司教様の元へ戻ります。あなた達はその娘から目を話すんじゃありませんよ? その娘も無詠唱を使うみたいですから油断せずに」
「「はい、ダビド様」」
「いや! 離して!!」
声の先を見るとシャーリーが縄で手を縛られて魔人化した女に引っ張られていて、その横で魔人化した男が剣を突きつけている。
「だまれ」
「っ!?」
魔人化した男は剣先をシャーリーの喉元に突きつける。シャーリーは突然の事に恐怖で身体が動かないようだ。
くそ! シャーリーになんて事を!!
「まぁまぁ、そんな騒がず少し休みましょう。それにその娘は殺してはダメですよ? 大司教様の命令なのですから」
ダビドが魔人化した奴らやシャーリーに声をかける。とりあえずはシャーリーの命の心配は今のところないようだ。それにダビド今は休憩しようとしている。
……今がチャンスだ。




