第二百九十二話 アースハイト攻防戦 その24
「なんで……っ!?」
ダグマルへの攻撃を防がれたロイは驚愕の表情をしながら言葉を絞るように呟く。
「ダグマル司祭、これは借りだと思ってくださいよ?」
そう言葉を発してダグマルの後方からダビドがやってくる。
……まさか……そんな……タビドがやったのか?
「……助かる」
「大変だったんですよ? このルイーズを手懐けるのは。まぁ手懐けると言っても魔人化させて使役しただけですけど」
そう言ってタビドは笑い声を上げる。
ロイの攻撃を受け止めたのは髪が紫に染まったルイーズさんだった。そして、前のちゃらいような笑顔もなく、ただ無表情でロイの剣を受け止めている。
そんな……ルイーズさんが魔人化なんて……奥さんとお腹の子供さんと一緒に過ごしているはずじゃないのか……?
「師匠!! なんで!?」
ロイは叫びながら訴えるけど、ルイーズさんは無表情のままロイを見据える。
ルイーズさん……本当に魔人化してしまったのか? でも、なんで……?
「ははは! 無駄ですよ!」
タビドは笑いながらロイの言葉にルイーズさんに変わって返す。
「おまえ!! 師匠に何をしたっ!?」
ロイはルイーズさんを離れ一気にダビドに詰め寄ろうとする。
でも、魔人化したルイーズさんがそれをさせず、またダビドの前で二人が剣を交える形で止まる。
「師匠どいてください!!」
「……」
ロイの必死の訴えも虚しく、ルイーズさんは無表情のまま言葉も発しない。
「何があったか教えてあげましょうか?」
ダビドはニヤリとしながら、その開いた。




