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第二十九話 新たな試練の予感がします

 あれから俺はやる事の優先順位をつけた。

 一番はまず『エターナル・ログ』で手に入れた知識と能力に慣れる事。

 まず、身体に慣れささないといざと言う時に使えない。

 父さんは知識・能力が継承されるって言ってたけど開発したばっかりって言ってたから多少の不具合があったのかもしれない。

 知識は間違いなく継承されているけど技術に関しては要領は得てるけど身体がまだ芯からスムーズに動くワケじゃない。

 魔法に関しては問題なく使用できるようだけどいざ接近戦や魔法の効きにくい相手がいた場合不利になる。

 この辺りの身体に技術を慣れさせるのが大事だ。

 という事で当面は半年後の闘技大会を目標に訓練に励む事にする。

 ちなみにロイも出場するらしい。

 第二王子とは言え出場してイイものかと思ったけど


 ロイのお父さんいわく、

 「ロイは言ったら聞かないからな!」

 と笑っていた。


 それでいいのかよ!

 って内心でつっこんだけどアースハイト家はみんな普段はそんな感じらしい。

 国民の皆さん、騙されてますよ!


 あと、シャーリーの訓練も途中なので家に帰るまでは並行して教えるつもりだ。

 と言ってもシャーリーも無詠唱も出来るよぅになってたし後は仕上げだろう。

 それはそれで寂しいけど……。


 ちなみに葬式は一週間後らしい。

 アースハイト王国とシーレント王国は三日ほどで移動できるみたいだけど、多くの人が移動すると集まる会場の準備でそれくらいかかるみたいだ。

 俺はじぃちゃんとばぁちゃん、それにシャーリーの両親の遺体が傷まないように魔法で氷漬けにする事を提案した。


 「なに!? 氷の魔法!? ……さすがハル君だ」


 良かれと思って言った後で気付いたけどこの世界は火、水、土、風の属性だから『氷』って魔法の概念はないらしい。

 ちょっとアレンジしたら出来るんだけど……。

 本来なら氷を周りに置き、腐敗の進行を抑えながら上級治癒魔法で細胞の破壊を少しでも抑えていく方法だったみたいだ。

 ちなみに魔法で細胞の破壊を阻止出来ても、魂が戻る事はない。

 魂は形あるものではないかだ。

 話は戻って魔法には『雷』とかもあるけどこんなの使ったら、


 『天災じゃ〜!』


 とか言って街の人が驚くからよほどの事がない限り使わない方がイイだろう。

 だから『機械』についてもまだ誰にも相談出来ずにいる。

 と少し話が逸れたけど葬式までの一週間はシャーリーの魔法の訓練を優先させる事にした。


 「……よし! シャーリー、無詠唱はマスターしたね。ちょっと休憩しようか」

 「ありがとうございます!」


 シャーリーも自分で手応えを感じているようだ。

 ちなみに魔力も上がっている。

 これは知識から分かった事だけど無詠唱で魔法を行う事でイメージが鮮明になり、魔力伝達の効率化が進む。

 それとイメージが鮮明になる事で精霊の加護が増し、魔力の底上げがされる。

 あとは魔力が尽きるまで使用した後、魔力の器が大きくなるらしい。

 まぁ筋肉つけるのに筋肉痛になるまでトレーニングするみたいな感じだ。

 魔力も個人差があって特にロイやシャーリーは元になる四属性だけでなく、光属性の加護も受けてる分、潜在能力は高いらしい。


 俺たちは最初城の庭で訓練してたけど、宮廷魔術師たちが隠れながら見学してるのが落ち着かなかったので前の訓練場所で訓練している。

 ロイも訓練に来たがっていたけど葬式が近い事もありシーレント王国から許嫁が来るからと言われ、王族として失礼のないよぅに葬式の作法を習っているらしい。

 俺はおもしろ半分に覗きに言ったらロイの無詠唱魔法を食らってしまった。

 ロイもだいぶ上達している。

 油断出来ない。


 って事で今はシャーリーと二人だ。


 「明日が葬式か。シャーリーはお兄さんとシーレント王国に帰るんだよね?」

 「いや、その……」


 帰りたくないんだろうか?

 でもあんまり詮索するのは良くない。


 「シャーリーのお兄さんってどんな人?」

 「えっ? あ、えっと……優しいんですけどなんて言うか……私に対して過保護なんです」

 「えっ? 過保護?」

 「はい。親は放任主義だったんですけどその分兄が……。どこか出かける時もいつ帰るとかどこにとか誰ととか……」


 あぁ、確かにシャーリーは可愛いからなぁ〜。

 俺が兄だったら同じような感じになるだろう。

 これはドラゴン以上に強敵かもしれない。


 「だから、今回両親がダンジョンアイテムの仕入れにアースハイト国に行くって言ったからついてきたんです。あまり外に出ないから……」


 そうだったんだ。

 たまたま一緒に出かけた先で両親が亡くなって……シャーリーにとっては辛かっただろう。


 「私、まだまだ世の中の事知りたいんです!それにハ……みんなと一緒にいたいんです!だから実は帰りたくなくて……何とかならないかなと……」

 「そっか……」


 こればっかりは知識を頼っても答えは出ない。


 「だから私、兄を説得してみます!」


 シャーリーは本気のよぅだった。

 話を聞いた限りのお兄さんの性格からしても難しいだろう。

 俺も何か考えてみよう。


 「だいたいお兄さんはいつまでも子供扱いして…」


 その日はそれから訓練じゃなくてお兄さんの話をシャーリーから聞かされる事になった。


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