第二百八十六話 アースハイト攻防戦 その18
ラートが俺に声をかけ自分が先に行くと言ってきた。俺はその言葉の意味を瞬時に悟る。おそらくドラゴンはまた防御態勢に入るだろう。そこに、俺が斬りかかったとして、ドラゴンの鱗を俺が切れるというのを心配しているのかもしれない。
確かにロイやウィルは魔力操作を行って攻撃をしているけど、切断までには至っていない。そう考えるとラートが心配する理由も分かる。
だから、ラートは自分が先に仕掛けて態勢を崩し、その隙を狙って急所だと思われる首や胸といった辺りを狙えと言っているのだろう。
俺なら魔力にものを言わせえ剣に纏わせる魔力の量を増やせばいけるかもしれないけど、相手はドラゴンだ。
未知の相手だし、出来るだけ不安要素は少ない方がいい。
「分かった! でも、無茶はするなよ!」
「了解っす!!」
俺の言葉にラートは返答すると俺より前に出てドラゴンに飛びかかった。
「うぉおおお!!!」
ラートは渾身の力でドラゴンにハンマーを上から下へ振り下ろす。ドラゴンはドラゴンで先ほどと同じように防ごうとした。
「グォォオオオ!!!」
ドラゴンはラートの攻撃を防ごうとしたけど、さっきと同じ方の翼でしか態勢が取れなかった為、耐えきれずガードが崩れた。
「ハル先輩!!」
俺はラートの声に答えるようにドラゴンへと肉薄した。




