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第二百八十三話 アースハイト攻防戦 その5

 空間魔法を用いて北門の外へと出ると辺りはドラゴンが襲来するのがないかのように静寂に包まれる野原に出た。後ろにはアースハイト、前方にはドラゴンの姿が確認できる距離だ。


 「あれがドラゴンか。聞くのと見るのでは違うな。この距離からでも威圧感がある」

 「同感だな。さすが伝説級と呼ばれるだけある」

 「なんという存在感……」

 「私の水龍よりも遥かに強いわね」

 「……」


 みんながドラゴンを前にその存在感を五感で感じ言葉を発する。

 圧倒的な存在感……その前では人間なんて無力だと感じてしまう程だ。

 シャーリーに至ってはやはりドラゴンを前に過去の経験がフラッシュバックするのか固まってしまった。


 「弱音を言うのもなんだけど私の風魔法で吹き飛ばすとかも無理そう」

 「ソニンちゃんらしくないっすね〜。ソニンちゃんならそこはもっと強気でしょ?」

 「バ、バカ! 相手はドラゴンなのよ!?」

 「でも、こっちにはそのドラゴンを倒したドラゴンキラーのハル先輩がいるじゃないっすか! ねぇ? ハル先輩?」


 ラートは言葉を口にしながら俺の方を向いてにかっと笑ってみせる。

 ラートの奴、きっとみんなの不安を取り除く為に言ってるな。


 「ふっ、確かにそうだな。こっちにはこっちで常識外れのハルがいるからな」

 「ドラゴンキラー……その実力見せてもらおう。そして、それを俺が上回ってやる」

 「そうですね。ドラゴンキラーと呼ばれる英雄がいますから」

 「ドラゴンキラーに英雄に常識外れね……シャーリー将来大変ね?」

 「……えっ? えっ!?」

 「だって結婚したらみんなから特別な目で見られる人と一緒に過ごすのよ? みんなには英雄の奥さん、それこそシャーリーは優しいし聖女とか言われるんじゃない?」

 「お、おい! こんな時に言ってんだ!?」

 「そ、そうよ!!」


 いくらみんなの不安を取り除く為と言っても限度がある!

 なんで俺とシャーリーばっかり!!


 「はいはい、じゃあこの辺で締めてドラゴン倒しましょうか?」

 「そうだな」


 何故か俺とシャーリー犠牲になり、たいして変わらない状況のアリィとロイにまとめられ俺たちはドラゴンに視線を向けた。

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