第二百七十二話 アースハイト攻防戦 その4
「この先にドラゴンがいるのか」
俺たちの目の前には大きな門が閉ざされた状態でそびえ立っていた。そして、上空を見ると淡い光の膜がアースハイト全体を覆っている。これがロイのお父さんが言っていたアーティファクトの効果なのだろう。
見る限りでは魔法障壁よりも弱そうな感じだけど、これでドラゴンの進行を防げるとは。
「じゃあちょっと待ってて」
俺はみんなに声をかけ、魔法を発動させ上空へと飛ぶ。空間魔法で移動するには基本的に行った事がある場所のイメージで場所と場所の距離を縮める感じで魔法を発動させる。だから行った事がない場所には基本行けない。俺も北門の外へはあえて出た記憶がないので上空から場所の確認をして移動先の場所をイメージ出来るようにしないといけない。
「あれは……」
俺が見つめる先には多少起伏のある野原が続き、その先の奥、遠くに見える丘からこちらに向かって飛んできている物体と東と西へと飛んでいる物体がある。これがドラゴンだろう。まだ姿形がハッキリとは見えない距離だけど間違いない。このままではイストニア帝国とシーレント王国にもドラゴンが向かってしまう。
早くなんとかしないと……。
「ハル、どうだった?」
「報告にあったようにドラゴンだと思う姿がこっちに一体、あと東と西に一体ずつ飛んでいる」
俺が上空から戻るとロイが俺に外の様子を聞いてきた。俺はそれに見たままの事を答える。
「急ごう」
俺はみんなの心を代弁する形で言葉を発すると空間魔法を使い北門の外へと繋ぐ魔法を発動させた。




