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第二十七話 居候します

 「まぁまぁ、落ち着けロイ。さっき母さんに止められたばかりだろ?」

 「ロイ君、元気があってイイわね」

 「アレク兄!? セフィ姉!?」


 赤髪の男、これがロイのお兄さんか。

 身長が高くて……なんだろう?

 なんて言ったら分からないけど気品を感じなんか優しい感じがする。

 兄弟でもこんなに違うものか?

 もう一人は青髪の女性。

 こちらは落ち着いた雰囲気で大人な印象を受ける。

 そして、同じく優しい感じがしてお嬢様と言った感じだ。


 「君がハル君だね? 父と母から聞いている。今回はありがとう」

 「ハル君、この国を……そしてシャーリーを助けてもらってありがとう」


 二人はそう言って頭を下げる。

 俺はさっきまでロイと言い争っていたテンションからテンションを戻すのに戸惑った。


 「あ、いや、大した事してないですしシャーリーは結果的に助けられましたけど両親は……」

 「いや、マーシャル家の両親は残念だが、君もお爺さんとお婆さんを失った。だが、君は生き残り、他の村人も助かっている人がいる。そして、ドラゴンは倒された。あの状況では十分すぎる結果だろう」


 まぁ、あの状況では出来る限りの事はしたつもりだけど……やはり悔いが残る。


 「まぁ、この件に関してはさっき父と母としただろうしこれまでにして、実はロイは小さい時から手がつけられなかったんだ。小さい頃から戦いの才能があって言う事を聞かなくて」

 「アレク兄!?何を言い出す!?」

 「まぁ、イイじゃないか。ある時からロイがちょくちょく城を抜け出してたんだけど、ある日ロイが抜け出して帰った後から訓練を頑張り出してね。何事かと思ったけど今なら分かる。ロイは負けず嫌いだからね」


 そうか。

 ロイは毎日は修行に来なかったけど、次来るまでには上達してきていた。

 こういう事だったのか。


 「でも、ある日夜まで帰って来なくて次の日から城の警備が厳重になってね。でも、しばらくしてロイはまた抜け出すんだけど」


 あっ、あのダンジョンの日か。

 ロイのお兄さんは笑いながら話している。

 その横ではロイのお兄さんの婚約者のセフィリアお姉さんが微笑んでいる。


 「アレク兄さん!!」


 ロイはアレクシオ王子に詰め寄り、抗議する。

 ロイのこんな慌てる姿は初めてみるな。


 「まぁとにかくロイと仲良くしてくれてありがとう。これからも弟をよろしく」


 ロイは諦めたのか、ついにそっぽを向いて窓から外を眺めている。


 「いや、こちらこそお願いします」

 「シャーリーちゃんもよろしくね」


 えっ!?

 セフィリアお姉さんの不意打ちの発言に動揺してしまう俺。


 「シャーリーちゃんを泣かせたら許さないからね?」


 セフィリアお姉さんは微笑みながら追い討ちをかける。


 「あ、はい」


 俺はそう答える事しか出来なかった。

 まだ付き合ってるわけでもないしこの返事はどうかとも思ったけど。

 そもそもセフィリアお姉さんとシャーリーの仲って……。


 「それはそうとハル君、ロイ。半年後の闘技大会には出るのつもりかい?」


 闘技大会?

 そんなもの初めて聞いた。


 「さっき父と母に聞いたんだけど、ルイーズさんも参加する為に帰ってくるらしい」


 ルイーズさん?

 誰だそれ?


 「師匠が!?」


 ロイが声を上げる。

 師匠……もしかしてロイに剣術を教えてた人かな?


 「父と母が言ってたからたぶん。まぁまだ先だし、ゆっくり考えるとイイよ。それと、ハル君。父と母から伝言でもうすこし大人になるまでうちで生活してはどうかとの事だ。それと、ハル君のお爺さんとお婆さんの葬式もうちでさせてもらいたいとの事だ」


 えー!?

 それは願ったりかなったりだけど……。

 城に住むってこんな事いいんだろうか?

 それにじぃちゃんとばぁちゃんの事まで。

 俺は頭の中で思慮する。


 「ハル君のおかげで我が国は救われた。遠慮する事はないよ」


 悩んでいたのが顔に出ていたんだろうか?

 ロイのお兄さんは俺の背中を押すように声をかけてくれる。


 「……では、お願いします」


 こうして俺はアースハイト家にお世話になる事になった。


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