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第二百六十八話 アースハイトへ

 「ドラゴン!? まさか……」

 「嘘よ! そんな……ありえない……」

 「……」


 俺の言葉にロイとアリィは驚愕しシャーリーは言葉を発する事もなく顔色が悪くなり震え出した。


 「ドラゴンとはな……噂では聞いていたが……ハルが倒したのとまた別にもいたとは……」

 「ドラゴンって本当にいたの?」

 「ラース教皇国でも噂では聞きましたがまさか……」

 「しかも、一体じゃないみたいだ。だから俺は行く。みんなはここで待っててくれ」


 相手がドラゴンである以上、俺もみんなの事を守れる保障もない。さらに、ドラゴンという存在は対峙しただけで相手を圧倒するものがあるし自分の身体が言う事をきかなくなりそうになる。それだけでもやっかいな相手だ。

 それに、シャーリーは両親を失い自分も命の危機を味わったドラゴンに対してトラウマもあるだろうし。


 「ダメ!! ハル君に何かあったら……」

 「シャーリー……」


 シャーリーは震えるてで俺の腕を掴む。

 シャーリーに心配かけたくないけどどうすれば……。


 「なら、みんなで行くしかないっすね!」

 「ラート!?」

 「何言ってるのよ!? あんた分かってるの!? ドラゴンよ!?」

 「ソニンちゃん心配してくれてるの?」

 「ち、違うわよ! それより、ドラゴンなのよ!?」

 「でも、ドラゴンを倒したハル先輩がいるじゃないっすか?」


 ラートの言葉にみんなの視線が俺に集まった。


 「ドラゴンを倒したハル先輩と一緒にいるのが一番安全だと思うっすよ? それにダンジョンでみんなの力を見たけどみんな俺が今まで見た事ないくらい強かったっす。だから、俺達が勝てなかったら終わりじゃないっすか? ならみんなで行く方が勝ち目あると思いますけど」


 ラートの言葉に沈黙が流れる。

 確かにラートの言う通りかもしれない。でも、ドラゴンと戦うのはかなり危険になるだろう。


 「ラートの言う通りだな。みんなで行く方がいい」

 「お兄様!?」

 「そうだな。それに相手がドラゴンとなればアースハイトのアーティファクトも使うだろうし勝ち目がない訳ではないだろう」

 「ロイ君……」

 

 ウィルにロイがラートの意見に賛同する。


 「……わたしも……ハル君の帰りをただ待ってるより一緒に行く!」

 「シャーリー……」


 シャーリーは震える体を抑えながら必死に声を上げる。


 「私もロイ君と行く!」

 「お兄様が言うなら私も!」

 「私も巫女としてドラゴンに立ち向かいます!」

 「みんな……」


 みんな不安もあるだろう、恐いだろう、なのに自分の気持ちを振るい立たせている。


 「じゃあ決まりっすね!」

 「ラート……いいのか? アースハイトと無関係のおまえまで」

 「乗りかかった船っすよ! それにここでノコノコ帰ったら逆に師匠に怒られるっすよ! ……あっ、きっと行っても怒られるっすけど」


 ラートの言葉にみんなが笑い少し空気が和んだ。

 全く、ラートの奴は。


 「よし、じゃあ行くぞ! アースハイトへ!」



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