第二百六十話 ダンジョン挑戦 パート2 その39
「くらぇぇえええ!!!」
ラートは岩の盾の上から飛び、石像の上からハンマーを振り下ろす。
対する石像は岩の盾が視界を遮っていた為、突如死角から上空に現れたラートに対して反応が遅れ、追撃する事は出来ないでいた。
そして、次の瞬間、ラートのハンマーが魔法障壁と触れたかと思うと魔法障壁は粉々に砕けた。
するとこのままではまずいと思ったのか石像は俺の時と同じように杖を掲げラートの攻撃を防ごうとしたけど、ラートの攻撃は魔力操作を使って威力を上げている訳ではない。
ハンマーの重量、さらに上空からの打ち下ろしの勢いが合わされば細い杖で対処出来るはずがなかった。
『ドゴォォオオン』
次の瞬間には爆音と共に粉塵が巻き起こる。
「ハル君、ラート君は……」
シャーリーが心配そうな表情をしながら水虎を連れて俺の横へとやってきた。
粉塵で視界が遮られる瞬間、ラートと石像の杖が交わろうとした時も石像がそれ以外に何も行動しなかったから大丈夫だとは思うけど……。
「あいつならきっと大丈夫さ」
「……うん!」
俺とシャーリーは暫し粉塵が晴れるのを待つ。
すると、徐々に影が見えてきた。
「イテテ、あっ、先輩やったっすよ!!」
粉塵の中からラートがこちらに向かって歩いてきた。
「ラート君!! 怪我は!? 大丈夫!?」
「大丈夫っす! ちょっとハンマーで石像打ちつけた後、破片が飛んで当たったくらいっすから」
「そっか、でもすぐに魔法かけるね!」
「あっ、大丈夫っす! シャーリーさんの手煩わせたらハル先輩に怒られそうっすし!」
「お、おい! いくらなんでも俺はそんな事で怒らないぞ!?」
「いや、ハル先輩はシャーリーさんにべた惚れっすから!」
「な、なに言ってんだ!?」
「違うんすか?」
「違うくはないけど……とりあえずその口を閉めろ!」
「俺たちの事を忘れてずいぶんと楽しそうだな?」
ふと声が聞こえ振り返るとロイとウィルを先頭に他のみんなが来ていた。




