第二百五十五話 ダンジョン挑戦 パート2 その34
「うぉぉおおお!!」
俺のやや後方ではウィルとロイが石像と戦っている声がする。
二人で戦っているのにすぐに決着がつかないあたり、石像の能力の高さを証明している。それに、二人で戦っているとは言え剣を合わせると魔力を吸われるという事だから相手の動きを封じるのが難しいのかもしれない。
おそらくアリィたちも援護しているはずだけど、あの石像のスピードなら魔法を当てるのは至難だろう。
「と言ってもこっちも膠着状態だけどな……っと!」
さっきから俺が魔法や剣で魔法障壁を破っても距離を取られた瞬間に再構築されなかなか直接攻撃を加えられない。
加えて、あの石像はさっきの氷魔法だけでなく、四属性の魔法も使ってくる。
さっきから俺はそれを避けたり反属性の魔法で打ち消したりしながらなんとかこの状況を破る方法を考えている。
あの石像は魔法に加え魔法障壁を再構築したりしているのに魔力切れに陥る気配もない。
ダンジョンから魔力を得るのか別の何かがあるのかもしれないけど、向こうの魔力が切れないとしたらジリ損だ。
おそらくあの胸の宝石みたいなのが核だと思われるしあれを一気に破壊できたら……。
俺は岩砲弾を放ちながら距離を詰める。そして、岩砲弾が魔法障壁に命中した瞬間に魔力操作した剣で畳み掛けようとした。
「うわっ!」
魔法障壁に穴が空いたところを狙おうとした時、内側からその場所に向かって氷の矢が飛んできて俺は避けようとしたけど、右腕をかすって血が流れる。
まさかこっちの行動まで読まれるとは……。
「ハル君血が……!!」
「大丈夫だよ」
俺の腕から血が流れたのを心配してシャーリーが駆け寄ってきて治癒魔法をかけてくれる。
でも、俺の後ろではロイとウィルが戦ってて危ないはずじゃ……?
俺は後ろを振り返るとロイとウィルの戦場は動いていて左の方へ移動していた。
それに伴って部屋の中央にソニンやルル達が陣取りロイとウィルの方をアリィ、ビアンさん、そして俺の方へシャーリーとラートがいてルルが光の結界のようなものを張ってソニンが状況を見てどちらにも援護している。
俺やロイ、ウィルが指示出すまでもなくここまでバランスよく動けるとは。
「ハル君、私達も一緒に戦ってるんだからね? 無理しちゃダメ」
シャーリーに怒られてしまった。
でも、確かにそうだ。みんなだって戦う覚悟をしているのに俺はどちらかというと俺たちが守らなければならないと思っていた。それこそ子供みたいに。でもそれは違う。シャーリー達もいろいろ覚悟をしてここまでいろんな経験をして決意のもと戦場にいるのだから。
「先輩大丈夫っすか!?」
「あぁ大丈夫」
「あの魔法障壁が邪魔なんすか?」
「そうだな。あれが本体への攻撃を遅らせるしいつまでたっても攻撃が本体に届かない」
あれがあるせいで向こうに時間を与えてしまう。そして魔法障壁を破る頃に魔法でカウンターをくらって距離を取ると最初の状態に戻る。相手の魔力の底も見えないしどうすればいいのか……。
「なら、俺に考えがあるっす!」
「えっ……?」
突如ラートが考えがあると言葉を口にした。




