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第二百五十三話 ダンジョン挑戦 パート2 その32

 俺はみんなに声をかけると同時に戦闘隊形(フォーメーション)を指示する。

 今回の場合、前方に敵が二体、後方は壁という状況なので前衛に俺とロイとウィル、中衛に無詠唱で魔法が使えるシャーリー、アリィ、ソニン、そして後衛に残りのメンバーといった隊形にした。

 後方からの罠も考えられなくはないけど、後方からの罠があると考えた場合、何か作動するきっかけがあるだろうけどそのきっかけとして考えられるのがあの石像二体を倒した時くらいだろう。

 それもあるとしたらだし、これを試練と考えた場合、これ以上の事はない可能性が高い。

 罠だとしたらそもそも転移魔方陣なんて手の込んだ事しないだろうし。


 「さて、お手並み拝見させてもらうぞ!」


 石像二体がこちらに動くより先にウィルが杖の持った石像へと詰め寄る。


 「ふっ、流石に一筋縄ではいかないか」


 ウィルが杖を持った石像へと肉薄するより前に剣を持った石像が瞬時に移動しウィルと杖を持った石像の間へと入りウィルの剣を剣で受け止めた。

 

 「あんなに早く動くなんて……」

 「石像のくせに小癪な」


 ビアンさんが驚くのも無理ない。

 石像の動きは俺やロイ、ウィルが魔力操作して動くスピードと遜色ないからだ。

 でも、その隙をついてロイが杖を持った石像へと向かう。

 

 「ロイ君危ない!」

 「うぉっ!?」


 石像へ近づこうとしたロイに対して突如杖から氷の矢が飛び出す。

 しかし、それに気づいたアリィが水龍から水を吹き出させロイに迫り来る氷の矢を叩き落とす。


 「ちっ、こいつも一筋縄ではいかないか」

 「ロイ君大丈夫!?」

 「あぁ、すまない。助かったアリィ、ありがとう」

 「良かった……ロイ君、無茶しないでね?」

 「あぁ」


 今の二体の石像を見る限り、見たままの戦い方をするのだろう。

 杖の持っている方は魔法、そして剣を持っている方は近接攻撃って言った具合に。

 それにしても、無詠唱に魔力操作……俺たちと同じような能力って事か。

 無詠唱って言っても厳密には違うかもしれないけど。戦うこちらからしたは魔法を使うモーションが分からないから一緒の意味だ。

 これは油断できない。


 「ハル、あいつの剣は魔力操作でも切れない。その上、何か魔力を吸われるような感覚になる」

 「なんだって!?」


 石像と剣を合わせていたウィルが剣を弾き距離を取って下がってきたところで言葉を口にした。

 魔力を吸われる? って事は剣を合わせているとこっちが不利って事か。厄介だな。


 「ハル先輩! あれ!」

 

 突如杖を持った石像のまわりに光の膜が出来き、その体のまわりを覆った。



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