第二十五話 続・衝撃の事実
俺がロイの正体に衝撃を受けているとまたドアが開く。
「ハル君、もう大丈夫なのかい?」
赤い髪の中年ぐらいのおじさん。でも、服装が豪華で周りに付き人がいて威厳があるところから考えると……。
「はい、ちょっと頭痛がありますがもぅ大丈夫です。……もしかして国王様ですか?」
「なんだ。驚かそうと思ったのに残念だ。左様。アースハイト王国国王のアルフレド=アレン=アースハイトだ」
ん?
何か反応が……でもロイの父親だと思えば納得できる。
それに何度も何度も驚かされてたまるか。
すると続けて青い髪の女性が入ってきた。
おそらく国王様と同じくらいの年齢だろうけど見た目はだいぶ若く見えてキレイだ。
まだまだ二十代と言っても通じるだろう。
「あなた。国を救ってくれた英雄に何を考えているの?ハル君、ごめんなさいね。そして我が国を救ってくれてありがとうございます。私はロディー……ロイって言った方がイイかしら?ロイの母親のリアーナ=アレン=アースハイトと申します」
そう言うとロイのお母さんは俺に向かって頭を下げる。
ロイのお母さんって事は王妃様か。
そんな人に頭を下げられるとは。
「いやいや、大した事してませんから。無我夢中で行動した結果です。それにロイ君にはいつもお世話になっています」
俺はそう言って頭を下げる。
頭を下げる直前、奥でロイがニヤニヤしてるのが見えた。
俺が真面目に受け答えしてるから笑ってやがるな。
俺だって場面をわきまえる事ぐらいできる。
クソッ!
覚えとけよ。
「いや、ドラゴンが現れたと聞いた時は国が滅ぶかと思ったが兵士を派遣したらすでにドラゴンは討伐されていた。生き残りの村人に聞くと小さな少年が倒したと言っていて驚いた。改めて礼を言わせてもらおう。ありがとう、ハル君」
そう言って国王、ロイのお父さんは俺に頭を下げる。
「いやいや、頭を上げてください。こちらこそ気を失っているところを運んで助けて頂きありがとうございます」
俺は礼を言った。
城の中にまで入れてもらってるなんて普通なら考えられない事だろう……と思う。
あっ、そう言えば……。
「あの〜……俺の髪の色見て驚かないんですか?」
「ん?あぁ、最初は確かに驚いたがいろいろロイから聞いてな。でも、ロイの奴、ちょくちょく城からいなくなってると思ったらハル君と訓練していたとは……ロイが魔法がうまくなったのも納得できる。宮廷魔術師を上回るとはな。それに国を救ってくれた英雄だ」
そうか。
ロイからいろいろ聞いたんだ。
でも、宮廷魔術師を上回るって事は『エターナル・ログ』で知識と能力を得る前でも結構な力を持ってたんだ。
それを上回る力を手に入れた今、使い方を間違えないようにしなくては。
「そうだ。ドラゴンと戦った時の事詳しく聞かせてはくれぬか?」
俺は『エターナル・ログ』の事を話そうか迷ったけど、この世界で生きていく以上、誰かには知ってもらっとかないといけないと思うしその相手がロイの両親ならと思い、付き人だけは席を離してもらってすべて話した。
「……ふむ、ではハル君は古代人種で過去から未来に送られて今ここにいる。それで過去には何か分からないけど危機があった。それで未来に……この時代に送られる時に『エターナル・ログ』を授かったといぅワケか……」
誰が聞いても信じてもらえないような話をロイのお父さんは理解しようとしてくれている。
す「そうか。でもハル君はハル君だ。我が国を救ってくれた事には変わりない。ただ、この事は私達と一部の関係者以外には内密にしておこう」
確かに現状ではそれがいいと俺も思う。
「まさか、ハルがそんなすごい奴だったとは……でも、剣術では負けないからな」
ロイが横から口を挟んできた。
目はすでに俺に対抗意識を燃やした目をしている。
「残念! 剣術の知識も一緒に手に入ったんだよ」
「何!? じゃぁ試してみるか?」
「まぁまぁ。ロイ落ち着いて。ハル君はさっき目覚めたばかりなのよ?」
ロイのお母さんが言うとロイは珍しく引き下がる。
さすがのロイも自分の母親の言う事は聞くみたいだ。
俺はその姿を見て笑い返してやった。
「ところで……シャーリー、ご両親の葬式だが遺体の様子から我が国でやるのはどぅだろうか? すでにお兄さんには伝令を送っている」
「心遣いありがとうございます。父と母はこの国が好きでした。なので、この国でできるとしたら本望だと思います。あとは兄の判断に従います」
えっ?
シャーリーも国王と知り合い?
てか、お義兄さんもいるの?
「ハル、シャーリーは隣のシーレント王国の大商会、マーシャル家の末っ子だ。シーレント王国は我が国とも親交が深い。さらにマーシャル商会とうちも親交が深い。だから、最初びっくりしたんだ」
……えー!!!!!!
とりあえず思考ストップ!
それにロイはなんで俺の心を見透かしているんだ!?
俺は本日二回目の衝撃を受けた。




