第二百四十七話 ダンジョン挑戦 パート2 その26
「ねぇ、ここも他の通路と一緒で行き止まりだしいいんじゃないの?」
ソニンがまた先が行き止まりになっている通路の先を見て声をあげる。
確かにもう見慣れたと言ってもいいくらい変哲もない行き止まりの通路だ。
「いや、でも調べてみないとダメだろう」
「お兄様がそう言うのなら……」
ウィルの言う通り、普通には行けない場所だとしたらどこに隠し通路とかがあるか分からない。
それに、それらは一見して分かるもんじゃないだろうし調べてみないといけないだろう。
普通に一目見て分かるのなら、今までに誰かが辿り着いているだろうし。
それにしてもソニンは本当にウィルの言う事は素直に聞くよな。
俺が言ったらきっとなんやかんや言われるのに。
「ウィルの言う通りだな、さて調べるとするか」
「はいよ」
俺たちはロイの言葉で通路の奥へと歩みだした。
「それにしても本当にその空間に行ける方法なんてあるのかしらね?」
「まぁ誰かが故意に置いたとしたら行けるだろうな。……自然に出来たとしたら方法はないかもしれないけど」
「けど、ノームが加工されたものが下の方の階にはあるかもしれないって言ってただろ? だったら誰かが置いた可能性高いんじゃないか?」
「その可能性はあるだろう。しかし、分からない事を言ってても始まらない。今分かっているのはオリハルコンはこの階にあってハルの言ってたところが怪しいと言う事と他の階にもあると言う事だろう。そして俺たちは時間の問題もあり、この階のオリハルコンを入手しないといけないと言う事だ」
……確かにウィルの言う通りだし、うまくまとめてくれてるけどなんだろう?
普通の事を普通に言ってるのにウィルが言うと妙に説得力と言うかなんていうか……ロイは首を左右に振っているし。
「もうそろそろ隠し通路位出てきないさいよ!!」
俺が物思いに考えていとビアンさんが叫びながら行き止まりの通路をそこら中叩き回っている。
ソニンが先に我慢の限界がくるかと思ったらビアンさんだったか。
一番歳上なのに。……あっ、歳の事は考えちゃダメだな。
でも、みんなシラーっとした目でビアンを見ている。あのソニンまでも。
「ビアンさん、そんな事したって通路は見つからーーえっ!?」
俺がビアンさんに声をかけているとビアンさんの姿が急に壁の中へ消えた。




