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第二百三十九話 ダンジョン挑戦 パート2 その18

 「やっとひと段落だな」

 「そうだな。数が数だけに手強かったな」

 「まぁもう少し手ごたえがあっても良かったが」


 スケルトン達を殲滅して俺とロイとウィルはひと息ついて口を開く。

 辺りにはスケルトンの骨と魔石が散乱している。

 そして、そのスケルトンの魔石をさっきからビアンさんが目の色を変えて回収して回っている。


 「へへん! スケルトンの野郎ども天才魔法使いの力見たか! おまえ達の魔石はこのビアン様が有効に使ってやろう!」


 ……そっとしておいてあげよう。

 まぁ確かにビアンさんの実力はそこらの魔法使いよりは上だと思うし、ビアンさんは金欠だからな。

 生活もあるだろうしちょっとそっと見守ろう。

 

 「先輩ら凄いっすよね! 魔法を詠唱なしで使うなんて!」


 俺がビアンさんを生暖かい目で見守っているとラートが声をかけてきた。

 そう言えばラートは俺たちが無詠唱で魔法使えるの知らなかったな。


 「あぁ……まぁな。でも、ラートこそ詠唱省略してたじゃないか」

 「いや、これはノームのおかげっすよ! ノームと契約してからノームが直接力を貸してくれるのと魔法のイメージが伝わってくるんで省略できるんっす! でも、先輩らは精霊と契約してなくてもできたじゃないっすか!」

 「まぁそうだけど……まぁコツみたいなもんかな?」

 「無詠唱をコツって言えるなんて凄いっす!」

 「そう言えば無詠唱とか詠唱省略とかなんなのよ!!」


 気づけばさっきまで魔石を集めていたビアンさんが詰め寄ってきていた。

 ビアンさん、近いっす。


 「い、いや、なんでもないですよ。聞き間違いじゃないですか? なぁ、ラート?」

 「えっ? あっ、そうですよね?」

 「そんな訳ないでしょ!? 教えなさいよ!」


 ビアンさん近いって! 顔近づけ過ぎ!


 「ビアンさん? 今は先を急ぎません?」


 ビアンさんの奥をみると物凄いオーラを纏ったシャーリーが水虎を控えて立っていた。

 まるで、背に何か背負っているみたいだ。


 「そ、そうね。ま、まぁあとでゆっくり聞かせてもらいましょうかしら」


 そう言うとビアンさんはそそくさと離れた。

 普通に考えたらシャーリーとアリィの水虎と水龍もあり得ない魔法だから誤魔化せないはずだけど、ビアンさんはきっとシャーリーの威圧感に押されたな。

 ……シャーリー恐るべし。


 「ハル君、行こ?」

 「お、おう」


 シャーリーはさっきまでと違い満面の笑みで手を出してきた。

 俺は有無を言わず、シャーリーの手を取り歩き出した。

 そして、この時は誰も……あのロイですら俺とシャーリーをからかうことなく歩き出した。

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