第二百二十六話 ダンジョン挑戦 パート2 その5
「あぁ、俺とハルが小さい時にこっそりこのダンジョンに潜った時に助けたんだ」
「そうなんですよ。若気のいたりで変装してちょっと忍び込んだ時にここでスケルトンの大群に追われてるバルトさんを助けたんです」
「そのバルトさんは誰かさんの変装に憧れて盗賊なんてしてたけどな」
「おいおい! だいたいロイがあんな黒布を用意するから悪いんだろ!?」
「俺に責任を押し付けるつもりか? 誰かさんが遠足気分で何も用意してなかったのが悪いんだろ? ハルは水筒しかーー」
「あーー!!! 俺が悪かった!!」
くそっ、確かに用意してなかった俺が悪い。
でも、そんな闇に捨て去りたい過去をシャーリーやみんなに聞かせなくても。
「ふふ、ハル君ってお茶目ですね」
「ちょっとシャーリー! ハル君が常識はずれだから生き延びてるけど、ダンジョンって普通はCランク以上の冒険者が来ても苦戦するんだからね!?」
「さすがハル先輩っすね!」
ラート、さっきからそれしか言ってなくないか?
だいたいダンジョンなんて知らなかったんだから仕方ないじゃん。
「ハルは小さい頃から子供ね!」
ソニンもう追い討ちかけないで。
それに、小さい頃は子供だから子供なんだよ。
「ハル、ちゃんと先を見通さないとダメだぞ」
「ウィル様、ハル君は考えてそれだったのじゃないかと……」
ちょっルル!!
それは酷くないか!?
「俺が悪かったけどみんな酷くない!?」
みんなして俺を……。
「そう言えばルル、俺の事は呼び捨てでいいぞ? だいたいハルとロイは君付けで俺だけ様付けはおかしいからな」
「えっ!? いや、その、あの〜……」
「それに戦闘中でそれでは支障が出る」
「あっ、はい。じゃあウィル……君」
「呼びすてでいいと言ってるのに。まぁまだマシか」
おーい。なんかいろんな意味で空気読んでない奴いますけど。
「ちょ、ちょっとそれよりじゃああなた達が私の命の恩人って訳!?」
話が脱線して何の話をしていたか分からなくなっていたところに話を戻すようにビアンさんが声をかけてきた。




