第二百二十三話 ダンジョン挑戦 パート2 その2
「あなたたち! 可愛いレディが困っているのに声もかけずに素通りする訳!?」
いや、明らかにややこしくなりそうなのに声をかける訳がない。
まして、自分で可愛いレディとか言ってる人物だ。
ややこしくない訳がない。
「いや、俺たちは急いでるのでーー」
「急いでいたとは言え悪かった。困ってるのか?」
いやいや! ウィルさん!
ここは絶対構ったらいけないところですって!
「ウィル様は誰にでも優しいのですね……そこがウィル様の良いところですけど……」
ほら! ルルも妬いてるよ? 鈍感系は苦労するよ? ねっ? だから先急ごう?
「あなたは話分かる人ね! 私は研究者でダンジョンを研究して10年……いや、ちょっとなんだけど」
……年齢バレたくないのか?
どっちにしてもややこしそうだ。
はぁ〜……。
「いつも三階にいるスケルトンに進路を塞がれ先に進めないの。だから、強そうな冒険者雇って行くんだけど……あの忌々しき骸骨野郎」
うわ〜この人口も悪いな。
でも、三階の骸骨ってあの時の魔物かな?
「あの〜そのスケルトンって大群で襲って来るんですか?」
「あら、良く知ってるわね! そうよ、あいつら魔物のくせに統制の取れた動きをするの。私の研究ではあいつらは冒険者の遺体から出来たと思うわ。最近ではその数を増やしているからこのダンジョンに挑む人も減っているし」
うん、それは昔にロイから聞いた。
だから、統制の取れた動きをするんだろうって。
でも、まさかあいつらがまだ生き残って数を増やしていたとは。
これも運命?
「じゃあたくさん雇えば良かったのでは?」
「それは……いろいろあってお金がないの」
「そうですか。じゃあ危険ですから帰った方がいいですよ? 俺たちはこれでーー」
「ちょっと待ちなさい!」
やっぱりダメか。くそっ!
でも、俺とウィル以外あまり関わらない方がいいと思ってるのか今までにないキャラに驚いてるのか近づいても来ない。
「俺たち急いでいるんですよ」
「私も急いでるわ」
うわー凄い。
完全に自分中心だ。
「だから、一緒に行動するのが良いと思うの」
「……俺たちにメリットないでしょ? だってダンジョンの中で今日会ったばかりの人と一緒に入って怪我でもされたら困るし」
「優しいのね。でも、大丈夫! こう見えて私は凄い魔法使いだから!」
いや〜自分で凄いって言ってて凄い人ってあまりいないか気が……。
「それに、私にはこれがある!」
女性はそう言うと『ばばん』と音が聞こえそうなくらいドヤ顔で紙を出してきた。
「これは……まさか!?」
「そうよ。ダンジョンの地図。非公式の物だけどこの紙は古くて手書き。恐らく昔に潜った人のね! ……これ高かったのよ?」
確かに紙は古そうだ。
しかも、十五階まである。
もちろん嘘物って可能性もあるけど。
「ほう。それは凄いな」
「でしょでしょ!? だから連れてって!」
女はウィルに頼み込んでいる。
ルルは少しジト目になって妬いている。
巫女様も普通の女の子だな……ってそんな場合じゃない。
「仕方ない。無一文では雇えないだろうしな」
「ありがとう! さすが! 私はビアン! よろしくね!」
知らないうちにウィルとビアンと言う女性の間で話がまとまっていた。




