第二百十七話 ダンノームでの出来事 その12
「えっ?」
俺は予想外の事に普通に疑問の声をあげてしまった。
今の話の要素に俺たちと一緒に行動するってなる要素があっただろうか?
「ラート! おまえは何を言ってるんだ!」
「だって師匠、いろんな経験をしろって言ってるじゃないっすか! それに俺がいた方がオリハルコンって分かるじゃないっすか! それにダンジョンって楽しそうだし……」
ラートは最後の方は何を言っているのか聞こえなかったけど、確かに俺たちはオリハルコンを知らないし見つけても分からない可能性もある。
でも、ルイーズさんがアドルノさんを訪れた時を考えるとラートもオリハルコン見た事ないんじゃないだろうか?
って言うかダンジョンって危険だし。
「いやラート、ダンジョンは危険だしお父さん?……お爺さん? いや、アドルノさんは師匠だから違うか?」
そういや、ラートとアドルノさんの関係って師弟関係は分かる。
でも、話のやりとりからしたら家族なような気がするけどいったいどんな関係なんだ?
「ははは!!!」
俺が考え込んでいるとアドルノさんは豪快に笑い声を上げた。
「何か勘違いしてるみたいだな! 俺とラートは血は繋がってねぇよ! まぁ親というか……育ての親と言えばそうかもしれないけどな」
「そうっす! 俺と師匠は血は繋がってないっすよ! でも、俺を拾って育ててくれたから親みたいなもんっすけどね! 親ならもっと酒癖良くして欲しいっすけど……」
「ラート!!」
「す、すいません! つ、つい口が!?」
目の前では話の内容とは裏腹に仲良さそうな二人の姿がある。
何があったか知らないけど、ラートも俺と同じような境遇なのか。
それなのにラートは明るいな。
アドルノさんの育て方が良かったのだろう。
「すいません、答えにくいところ聞いてしまって……」
「いや、大丈夫だ!」
「俺も全然大丈夫っすよ! 親の事は気にしてないっすし、これ以上手のかかる親がいたらたまらないっすしね!」
「ラート!!」
「あっ、いけねぇ!」
ラートは明るいな。
いろいろあっただろうけど後ろを見ずに前向きに生きている。
あっ、そう言えば……
「あっ、さっきのラートが行けばオリハルコンって分かるってどういう事ですか? ルイーズさんの来た時にはラートは見てないような気がするんですけど……」
「それはな、ラートは地の精霊と契約してるんだよ」
アドルノさんの口から突如驚愕の言葉が出た。




