第二百十五話 ダンノームでの出来事 その10
オリハルコン……エターナル・ログの知識の中にもある最高の金属。
それだけは錬金術で作る事が出来ず、古代人種の中でも貴重な素材として扱われていたらしい。
創造神がこの世界を作った時に残した神の遺産として扱われる素材。
まさか、その素材が必要とは……。
「オリハルコンってあの幻の?」
ロイがアドルノさんに問い返す。
「あぁ、でも幻じゃないさ。一人は持っている人物を知っている」
「誰ですか!?」
「落ち着け! まぁそれはおまえさん達も知っているだろう人物だ」
俺達が知っている人物?
オリハルコンなんて持っている人いたっけ?
俺の隣ではロイも分からないのか首を傾げている。
「誰ですか?」
俺は考えても分からなかったのでアドルノさんに聞き返す。
「Sランク冒険者のルイーズだ」
「「「「!?」」」」
俺とロイ、アリィとシャーリーは驚きの表情を浮かべる。
あのルイーズさんが……でも、言われて見ればあの実力でずっと剣を使ってて耐えられていると考えれば納得はできる。
でも、ルイーズさんは今奥さんの実家に挨拶に帰っているしましてルイーズさんの武器を借りる訳にも行かない。
「やはりルイーズを知っているようだな」
「ルイーズさんはどこでオリハルコンを手に入れたのですか!?」
ロイも俺と同じようにルイーズさんの武器は借りれないと思ったのだろう。
藁にもすがる思いでアドルノさん問いかけた。
「落ち着け落ち着け!」
「すいません……」
「まぁ、気持ちは分かる。ちょっと昔話になるが、15年程前かルイーズが儂の元にオリハルコンを持ってやってきたのは。あいつはまだ若かったが実力はすでにその時からあってな。ただ、おまえさんが使ったような事をしてると武器がもたないと言っていた。それで奴は自分の技術に耐えられる素材を探しにダンジョンに潜り素材を入手したと言って儂の元に現れた」
ダンジョン……?
もしかして、俺とロイが小さい頃に潜ったダンジョンか?
それにオリハルコンを加工したのはアドルノさんって事か?
「ダンジョンってどこのですか? それとオリハルコンを加工したのはアドルノさんですか? でも、どうやって?」
「これこれ、少し待たんかい。儂の昔話をーー」
「師匠の昔話は長いっすからね!」
「うるさい、ラート」
「頭殴らなくてもいいじゃないっすか!?」
「おまえがうるさいからだ! ったく、まぁダンジョンについては詳しくは聞いてないがアースハイトの闘技大会の後にダンジョンに潜って手に入れたと言ってたな。それとオリハルコンを加工したのは儂だ。加工した方法は……まぁオリハルコンが手に入ったら教えよう。それまで秘密だ」
加工方法は気になるけど、ルイーズさんがオリハルコンを手に入れたのはやっぱり俺とロイが小さい頃に潜ったダンジョンのようだ。
とりあえずはオリハルコンを手に入れないと加工方法を知っても仕方ないし……。
「ロイ」
「あぁ」
俺が名前を呼んだだけで言いたい事が分かったのか、ロイは頷き返事をした。
昨日にエターナル・ログの番外編『クリスマスパーティー』を投稿しました。
短編で投稿しましたので本編にはあがっておりませんが気になる方は読んで頂けたらと思います。




