第二百十三話 ダンノームでの出来事 その8
「よう! 待ってたぜ!」
「えっ!? なんで……?」
俺たちが店員さんに連れて来られて入った部屋には意外な人物がいた。
「驚くのも無理ないっすよね! 師匠は酔ってたら酔っ払いのーー」
「いらねぇ事言ってんじゃねぇ、ラート!」
「いてっ! すぐに殴らなくてもいいじゃないっすか!?」
「おまえがいらねぇ事言うからだ!」
そう、俺たちが入った部屋にいたのは昨日話しかけてきて奢ってもらっておっちゃんとそのおっちゃんを迎えに来たラートと言う人物だった。
「おっと、すまねぇな! ラートがいらん事を言うからついつい……んで、俺にどんな武器作って欲しいんだ?」
おっちゃんの横でラートが『別に嘘は言ってーー』といいかけたところでおっちゃんに睨まれ口を噤む。
俺たちはあまりに突然な展開に反応出来ずにいた。
「師匠、やっぱみんなびっくりしてますって! とりあえず自己紹介からした方が良くないっすか?」
「くっ、まぁ確かに自己紹介はまだだったな。俺はアドルノだ。この工房の責任者だ。そしてこいつはラート。俺の弟子だ」
おっちゃんの紹介に横でラートという人物は『ラートっす! ラートって呼んでください!』と言葉を続けた。
「俺はウィルハート=エイディン=イストニアだ」
俺が予想外の展開についていけてないところでウィルが自己紹介をした。
「あっ、俺はハル=アイディールです」
ウィルの自己紹介に我に返った俺は反射的に名を名乗った。
それに続いてみんなも名を名乗り、とりあえず自己紹介は終わった。




