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第二十話 エターナル・ログ

 胸のネックレスが眩く光り出した。


 『ナンダ!?』


 ドラゴンがそう言った瞬間に周りの景色が止まり、真っ白な世界になった。

 やっぱり俺は死んだのか?

 そう思っていると俺の前に二人の男女が姿を現した。

 男の方は俺と同じ黒髪でまだ20代後半くらいだろうか若々しいけど威厳が感じられる。

 一方、女の方はキレイな金髪で20代前半くらいで優しそうな人だ。


 「……私の名はフォラン=アイディール。ハル、おまえの父親だ」

 「私はララ=アイディール。あなたの母親よ」

 「!?」


 俺は声にならない程の衝撃を受けた。

 しかし、突然、父親と母親を名乗る者が出てきて納得できるだろうか?

 いや、納得できるはずがない。


 「ハル。落ち着いて聞いて欲しい。時間がない為詳しくは伝えられないが、今は訳があっておまえを遠い未来に送った。私達は事が収拾次第おまえを迎えに行くつもりだが、私達も生き残れるかどうかの保証はない。未来でおまえが無事に過ごせているなら私達の時代の危機は去ったという事だろう。そして、もし私達が迎えに行っていないというならば私達の身に何かあったという事だ」


 俺は何が何だか分からない。

 さっきまでドラゴンが出てきただけでも理解し難いのに死にかけたら急に父親と母親が出てくるなんて……。

 さらに、過去から未来に送ったとかそんな夢物語あるんだろうか。


 「ハル。あなたは私達にとってかけがえのない存在……。出来るなら一緒にいたかった。でも今は危機が迫っている。だから、仕方なく未来に送ったの……」


 「赤ん坊のおまえを未来に送る時、私達はおまえにこの『エターナル・ログ』を持たせた。これは古代人種の知識、能力が詰め込まれている。これが作動すればおまえは今までの誰よりも潜在的な能力や知識は上になる。この『エターナル・ログ』は開発されてすぐのもので、もしかすると身体に負担がかかるかもしれない。だから、作動にはハルの身に危険が及んだ時に作動するように制御をかけている。このメッセージを聞いているという事は残念ながらハルの身に危険が迫っているという事だろう……」


 「ハル……ゴメンね? 本当なら私達が迎えに行って『エターナル・ログ』もハルに作動させる事なく回収してハルと三人仲良く暮らしたかったの……」


 そういうと母のララ=アイディールは泣き崩れた。


 「ハル……すまない。だが、私達はおまえの事を愛していたそれだけは分かって欲しい」


 お父さん……お母さん……。

 俺は最初自分の両親だと信じられなかった。

 しかし、なぜか今は本能(・・)でこの二人が両親だと感じている。

 初めて会えたのにもう二度と会えない。

 俺は両親は亡くなったって思っていたけど改めて事実を突きつけられるとショックだった。


 「ハル、時間がない。『エターナル・ログ』を発動させる」


 父さんがそう言うと光が俺を包む。

 それとともに頭の中にあらゆる情報が入る。


 「うわぁぁぁ!!!」


 頭が割れるように痛い。

 なんとか耐えると光が収まっていく。

 すると父さんと母さんの姿も霞んできた。


 「ハル……おまえは私とララの最愛の息子だ。今となってはおまえの幸せを願うばかりだ。『エターナル・ログ』が発動したという事はおまえに困難が待ち受けるのかもしれない。けど、幸せになって欲しい。おまえを一人にさせて勝手言ってすまないが……それが私たちの唯一の願いだ」


 「ハル……私たちはいつも側で見守ってるから……。だから、幸せになってね」


 「父さん! 母さん! 行かないで!」


 俺は叫んだ。

 しかし、俺の願いも虚しく、父さんと母さんの姿は無情にも消えた。

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