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第百九十七話 ラース教皇国での出来事 その60

 そう言うと大司教は口を開いた。


 「我々は少し前からゴルゾーラ教を調べていた。というのも我々の信者は世界各国にいる。その者たちはそれぞれの国にある他の宗教も監視しておる。監視と言っても他教を弾圧するのではなく、宗教や思想を元に世界に異変を起こそうと考える者が出ないようにという意味でな」


 この世界はほぼラース教の信者だから、他の宗教の信者がいれば目立つ。

 それをラース教信者がラース教の組織を通じここに情報が集まっているというのか。

 なんか監視というとあれだけど、ゴルゾーラ教みたいに人々の暮らしを危ぶむ組織があるとしたら対応しないといけないし……。

 そういう意味では仕方ないのかもしれない。

 そう考えると国が見張るよりも、国境を越え世界各国にいるラース教信者から情報を集めるってのは有効だな。


「そして、信者からの情報でアースハイト王国とイストニア帝国の戦争にゴルゾーラ教という宗教が絡んでいたという話を聞いてゴルゾーラ教について調べる事にしたのだ」


 ゴルゾーラ教の話を聞いたのがイストニア帝国との戦争の後だという事はやはりゴルゾーラ教が本格的に動き出したのその辺りからなのだろうか?


 「それで調べた結果、分かった事はゴルゾーラ教は今西にあるザイール王国で動きを見せているという事。国をあげゴルゾーラ教の布教をしているらしい。調べているが今のところそれくらいしかわからない。というのも布教活動自体は目撃するが、表立って何か兵力や軍事力といったものが増強されている訳ではないという事だ。だからこちらも表立って活動を抑止する事はできん」


 そうか。

 やはりゴルゾーラ教は裏で活動しているのだろう。 そして、ラース教と言えど表立って証拠のない宗教を弾圧する事は出来ないから。

 それを隠れ蓑に行動しているという事か。


 「大司教様ありがとうございました」

 「うむ。これからそなたたちはどうする?」


 俺はみんなを見渡すとみんなも無言で頷く。


 「俺たちはサラージ王国へ向かいます」


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